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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

危険な兆候!

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野田政権が対米公約5項目を公表した。ちょっと危険な匂い感じるのは、私だけだろうか?

報道されているように、普天間問題で進展が見込めない中、アメリカに対する同盟国としての姿勢を示すというのが本旨かどうかは分からない。しかし、個別の問題はそれぞれ様々な課題を含んでいるので、そのような発想で軽々にコミットすべきものではない

どうも、この件で不安になるのは、原理原則論を忘れて、対症療法で何とか済まそうという姿勢だ。これは民主党政権に限らず、このところの日本の政治の継続する現実だと思う。しかし、既に国家は破たんの危機に直面しているのであり、国民もそれを感じている。だとすれば、籠手先に走らず根っこの問題から方向性を示すべきではないか

その意味で、内部抗争はあったとはいえ、一旦は選んだ自党の総裁がひき起きした普天間の混乱をまず全力を挙げて解決すべきだ。もちろん沖縄県民の気持ちということもあり、簡単な問題ではない。だが、先行きの方向性を示して、現在の最善策である辺野古という選択肢を採り、一方で早急にその解消も目指すということしかない。この点では、憲法9条を含めた国全体としての防衛政策の議論も避けて通れない

TPPは、私は原則論として反対ではない。ただ、韓国と親密さを示すアメリカのパフォーマンスに惑わされることなく、きちんとした防衛だけでない安全保障の議論の延長線上で議論すべきだ。元々シンガポールが中心になって組成したものに、アメリカが乗ったという歴史的位置づけや、現在アメリカにおける中国包囲戦略の一つとして位置付けられていること、なども重要だ。そして、もちろん輸出産業にとってこれが重要であることは明らかとしても、そもそも日本はほとんど関税がなくなっていて、今加入しなくても国際社会の中で批判される立場にはないことを認識すべきだ。

武器の輸出三原則は、輸出産業にとって福音だろう。一方で、平和憲法との関係で言えば、これは外交政策だけの問題ではなく、わが国の存立の基盤に関わる重要な課題だ。私は、十分に研究していないので簡単に賛否を述べることは出来ないが、PKOよりも本質に関わるものだと感じている。

PKOについては、国連の関与を前提にすれば、活動に一定に制限を加えることを前提として個人的意見としては首肯できる。だが、武器輸出と同様、日本という国の世界における位置づけに関わる問題であり、きちんとした議論はいずれにしてもすべきだろう。

BSEは、牛肉大好きな私としては、輸入量が増えることは賛成だ。ただ、国家として国民の安全を守るという立場から、どの程度きちんとした検査体制が確保できるのかという問題は現実の手続きを見守るしかないだろう。原発問題で、あまりに神経質になりすぎている部分はどうかと思っている。しかし、一方で日本でもこれだけ注意しているように見えて、ゆっけ問題が起きるのだから、基本的に品質についての感度が低いアメリカの牛は、ちょっと気になる

ハーグ条約は、重大な問題だ。国際社会の一員として、国際的な取り決めに従うことは重要だが、一方でこの条約については、まだ批准国が半数を超えていないという点にも着目が必要だ。現実に事件も起きていることは認識すべきだ。そもそも、日本社会の仕組みがすべて正しいわけではないにしても、離婚が普通で、その家庭の子供たちが離婚後も普通に実親と会うというアメリカの社会と、新たな親を「おかあさん、おとうさん」と呼ぶ日本の社会は根本的に異なるところがある。民法においてすら、家族法の分野は、契約法とは一線を画したものとして扱われることを考えると、慎重な対応を求めたい。それぞれの社会は、独特のシステムを作り上げており、これを国際ルールだけで一刀両断に決めつけることはできないはずだ。このようなキリスト教至上主義は、多様性をもつ国際社会の中で、すべて許容されるというわけではない考える。

 

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