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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

マイク丹治のグローバルアイ その2

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今週は日本にいました。新党結成やら、結構騒がしい毎日ですが、ちょっと二つほどコメントしてみたいと思います。

まず、普天間問題。完全に迷走していますね。確かに、国内に米軍の基地があって、そのために騒音はあるわ、米兵が時々不埒な行動をするわ、現地の皆さんは大変だと思います。ただ、一方で、その大変さを喧伝することで沖縄に予算が付いてきた、だから何とか沖縄の経済が成り立ってきたことも事実だと思います。このあたりをどうするのか、はっきりする必要があります。

それから、そもそも普天間の海兵隊がどのような役割かは別にして、基地問題そのものをもっと国民として議論すべきです。世界平和を期待するのはもちろんですが、世界中で紛争が起こっているのは事実で、まだまだ人類は未熟です。わが国の周りにも、北朝鮮や中国と台湾の確執のような火種は沢山あります。わが国は平和を貫こうと、これらの火種から飛び火しないという保証はありません。米軍がいることで、この可能性が相当程度回避されているのは事実です。つまり、わが国の国民は米軍がいるおかげで、平和を享受できているのです。一方で、では米軍が本気で命をかけて、わが国を守ってくれると考えるとすれば、それはあまりに常識外れです。本当に生命の危機に陥れば、米軍は当然撤退するはずです。

では、何故米軍は日本にいるのか?もちろん日米安保があるからですが、それ以上に米国は自国の安全のため、そして自国の重要な経済圏である太平洋を守るためだと思われます。そしてこれを守るためには、やはり沖縄辺りに相応の軍備があることが条件なのだろうと思います。グアムでは、台湾海峡有事の際に間に合わない、ということもあるのではないでしょうか?

つまり米国の最前線の場を提供する交換条件として、わが国の安全保障の一翼を米国に担ってもらっているということなのではないでしょうか?とすれば、もしこれを本気で解消するとすれば、わが国は自分で自分が守れる仕組みを作るしかありません。つまり自ら自衛軍を用意するということです。

これまで、憲法解釈などでなし崩しに行ってきた自国の安全保障を、そろそろ本気でどうするか考えるべき時期に来ているのかもしれません。私は、軍備論者で憲法改正論者ですが、それが正しいかどうかは別にして、きちんと議論をすればよいのではないでしょうか?そもそも議会制民主主義にしても、税制にしても、そして憲法にしても、我々が独自に作り上げたものではありません。時代も大きく変わった今、本当にわが国はどうあるべきか、これまでの制度を前提とした修正を行なうのではなく、一から考えるべき時だと思います。そして、その議論の過程で、引き続き残る歴史認識の相違や、平和立国の在り方などを時間をかけて整理していき、諸外国の理解を得ることが不可欠だと考えます。少なくとも、自分で自国を守る気のない国が世界から評価され続けるとは思えません。

もう一つは、財政赤字の問題です。いろいろな政策課題がある中で、これに対応しつつ限られた時間で予算編成をせざるを得なかったことから、本年度の予算が想定よりも大きくなったことは致し方ないと言わざるを得ませんが、一方で消費税は本政権においては上げないなどというポピュリズム、もっと言えば保身を貫く姿はさすがに国民の生活を預かる政治家として如何なものか、という気がします。

ちょうど、英国のエコノミストに日本経済に関する記事が載っていましたが、極めて明快。要は、貯蓄率が引き続き高い状況が続いたとしても、2015年には国債は国内の貯蓄では引き受けられなくなる、そうすると海外では日本の国債は今の金利水準では引き受け手がないので、財政破綻は一気に進むというものです。極めて単純化した図式ですが、分かりやすいもので、否定のしようがありません。

そして、エコノミストは、どう考えても緊急に思い切った施策が必要なのに、これを放置する、それどころか経済再生とは逆行した政策(つまり競争原理を否定するような政策)を実行する、これこそが日本の日本たる所以であると結論付けています。しかし、今何らかの行動を起こさないとそれこそわが国は二度と浮上しない可能性もあるのではないでしょうか?米国を追随して一度は追いついたわが国ですが、トップに立ったとたんに思考停止に陥る、自分でアジェンダの描けない状態は、そろそろ脱却すべきです。

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