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あるオークションサイトと20ドル紙幣を34ドルで落札した授業のこと

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私は現在、選択科目の一つで「E-Business」という授業を取っています。その授業自体は、ITをどう企業に取り入れるか、どのようなチャレンジがあるか、などなどを実際のケースを使いながら議論するというものですが(なんと女性は私一人)、その授業の本題に入る前に、あらかじめ決められていた2人が自分が発見したおもしろいウェブサイトについて簡単に紹介するという決まりになっています。

一人の(最近すでに起業した)クラスメートが「時間の無駄使い」と酷評するこの取り組みですが、私としては、これまでに知ることのなかったウェブサイトを知ることができ、なかなか楽しい時間です。

平均的な日本人の私にとって、店舗が実際にある企業のEサイト以外でよく買い物するのは、Amazon楽天eBayヤフオクExpedia程度ですが、特にBtoBの分野を中心に、世界最大規模のAlibaba(昨年日本サイトオープン)他、特定の分野に特化したサイトなどの数の多さに驚かされます。

そんな中で今回紹介したいサイトは、2005年設立、ドイツのオークションサイト「Swoopo」です。基本的には、PC関連やCE、ゲームなど、エレクトロニクス関連の品揃えが多い個人向けオークションサイトですが、特徴的なのはその課金モデル。

参加者はあらかじめBidsを1Bidあたり60セントで購入し、オークションでBidする度に60セント相当のBidを支払うというわけです。(その代わり落札価格に対するコミッションはなし)

このサイト見ているだけで結構楽しいんですが、値段が赤く点滅すると誰かがBidしたということが分かり、人気の製品などは、30分間くらい15秒と1秒の間を行ったり来たりしているんですが、私には、値段が赤く点滅する度に「チャリーン、チャリーン」と頭の中でお金の音が聞こえてきます。これはサイトのオーナーとして見てたら最高に楽しいだろうなあ。自動的にみんながお金を振り込んでいくんですから。あ、また60セント、60セント、60セント・・・。

運がよければかなりお買い得な買い物ができそうなサイトですが、人気の商品などは、10人くらいが激しく競っていたりします。そんな場合、競り落とせた最後の一人以外は全員60セント×Bid数の金額だけロスするわけであり、その心理がさらなるBidへと駆り立てているのではないかと思いました。例えばもう既にBidで10回分(6ドル)支払っているのに、1ドルのBid差で負けるなんて悔しいですよね。

そんなこのオークションの仕組みを見ていて、昨年の応用経済学のある授業を思い出しました。それは、20ドル紙幣1枚のオークションをクラスでやった時のこと。明らかに20ドル紙幣は20ドルの価値しかないのに、最終的な落札価格は34ドル。なぜなら、そのオークションには「特別ルール」があったからです。

その特別ルールとは、「一番高い金額を提示した人はその価格で落札できる。二番目に高い金額を提示した人は何ももらえないがその提示した金額を支払わなくてはならない。」

そこで何が起こったかというと、1ドルからスタートしてあっという間に20ドルにBidが到達したとたん、今までざわついていた教室の中はしーんと静まり返りました。なぜなら20ドルのものを20ドル以上で買っても意味がないからです。

しかし次の瞬間、「21ドル」との声。

それは19ドルにBidした子で、このまま20ドルで落札されてしまったら、彼は19ドル支払って何も得られないため、まるまる19ドルの損になるからです。

あとはお分かりのように、「22ドル」、「23ドル」、と2人がひたすら値段を上げ続け、34ドルまで行ったところで、一人が「もういいや」と勝ちを断念した形でオークションは終わりました。

結果、20ドル紙幣は34ドルで競り落とされ、主催者の教授は、20ドル1枚に対し、34ドル+33ドル=67ドルを手に入れたというわけです。(もちろん授業なので実際にはお金のやり取りはありませんが。)

このSoopoというオークションサイトはそんな人間の心理をうまく利用している気がしました。でも、だからといって、20ドルのものに30ドルもBidするのは馬鹿ですよね。このようなオークションサイトを利用するのは、まずは賢い戦略立案が必須ですね。

☆追記☆

弟から「Swoopo」と同じようなサイトが日本にあることを教えてもらいました。

新感覚オークション「ヤスオク」 http://www.yasuoku.jp/ 

0円から始まって1回Bidするごとに75円支払うという仕組み。こちらは全てAmazonの製品を扱っているようです。たぶんSwoopoを真似したサイトだと思いますが、「落札者以外が損する」「詐欺だ」などと厳しい意見もいろいろ出ているようです。

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