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セカンド・ライフに欠けているもの

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セカンド・ライフ(Second Life)がいまいち盛り上がらない理由は、「世界観」が無い、ということにつきると思います。

前回のエントリーの"「世界」と、それを取り囲む「世間」"を踏まえて言えば、セカンド・ライフは、何を表現し何を表現しないか、という「世界観」が無く、ユーザーが勝手に何でも行える、単なる「世間」に過ぎないからです(もちろん、最低限のルールは定められていますが)。

セカンド・ライフは、「3D仮想世界」と紹介されますが、実態は「3D仮想"世間"」と言った方がふさわしいかと思います。だから、世間話ぐらいしかすることがないわけです。

それでは、その世間の中に、世界観を持つもの、つまりコンテンツを置けば、そのコンテンツを見るために、ユーザー数が増えるのではないか、と考えることはできます。

しかし、それらのコンテンツは、結局のところディスプレーを通して鑑賞するものなのですから、3Dの空間に置かれることにあまり意味はありません。たとえば、セカンド・ライフでしか見られないライブとか、映画が公開されたとします。しかし、3D空間の中を歩いて、それらが公開されるライブ会場や映画館にいっても、結局、2次元のコンテンツをみるわけですから、3Dの特殊性は無いわけです。

現在は、1つのSIMに50人という制約があるのですが、もしこの技術的制約がなくなったとしても、ディスプレーを通してみる2次元のコンテンツを、3次元の空間に置くことに意味は無いように思います。

将来、3Dゴーグルなどにより、本当に3次元空間にいるような体験ができるようになれば、また違った楽しみ方もあるのでしょうが、それはずっと先のことになると思います。

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