【書評】『ネットの炎上力』――どこからくるのか?
蜷川真夫『ネットの炎上力』(文春新書)
本書は、ネットの炎上を煽る「炎上メディア」と呼ばれるJ-CASTニュースの発行人によるもの。J-CASTニュースが創刊されたのは2006年7月で、その前後の状況から、最近の動向までを詳しく述べている。PVの推移や、よく読まれた記事が紹介されるなど、ウェブ媒体の正確なデータが乏しい現状では、資料としての価値も大きい。
《J-CASTニュースのスタートに向けて06年4月ごろからテストを始めた。編集部では、いつ100万PVいくかな、と情けないことを言っていた。すぐに1000万いけるよ、と言ったのは私だが、別に根拠があるわけではなかった。誰も信じてくれなかった。
正式スタートした7月、月間67万4931PV。翌8月、225万5578PV、9月272万1763PV、10月には442万5867PV。
おやおや、いけそうじゃないか。そして1年たった07年07月には1223万8991PV。なんと1年で月間1000万PVが達成できた。》(pp.105-106)
また、よく読まれた記事は以下の通り(p.137)。
1位 リア・ディゾン「局部?写真」疑惑で大騒動
http://www.j-cast.com/2007/07/10009188.html
2位 元「モー娘。」飯田のファン 「できちゃった婚」にショック画像
http://www.j-cast.com/2007/07/09009133.html
3位 激論「太田総理」で騒動 民主議員が「お詫び」
http://www.j-cast.com/2007/07/03008937.html
では、これらの記事の読者は、どこからやってきたのか?
《小さなサイトにリンクが張られ、そこから数人、数十人の単位で読者がやって来る。それがねずみ算のように広がっていく。口コミでの広がりと似ていて、サイトからサイト、ブログからブログへと広がっていった。》(p.142)
[参考]
『ネットの炎上力』の「読みどころ」を無料ダウンロード
http://www.j-cast.com/kaisha/2010/03/15062195.html
ダウンロード
http://www.j-cast.com/kaisha/images/2010/jcast_bunshun739.pdf