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ソニーエリクソンの挑戦(11)~ソニエリとブラビアの共通点

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井原勝美ソニーエリクソン社長のインタビューの内容については、いろいろと検証すべきところもあるのですが、その中でも、一つのポイントと言える部分を考察してみたいと思います。それは、生産面にかかわる部分で

「変動が激しいですからね。市場の。それで、のんびりしたオーダー・ルールでやっていないから。短期ですごくたくさん作ったり、すとんと落ちたり、そういうことがありますから、そういう変動に追随していくということが、なかなか容易なことではないですね。」

携帯電話のようなコモディティ化が激しく、かつ他品種を生産しなければならない商品は、マーケット、それも世界各国のマーケットの動向をにらみながら、どの機種を、どれだけ生産するのかを、瞬時に判断し、厳密に生産・流通させていく必要があります。

また、井原氏は、ソニー復帰後に液晶テレビ『ブラビア』を担当されて、落ち込んでいたソニーの液晶テレビのシェアを回復させたことでも知られてます。私は、昨年3月に、スペインにあるブラビアの工場を見学させていただきました。

http://blogs.itmedia.co.jp/london/2006/03/post_da10.html

この時、工場長に、ソニー本社にどれくらいの頻度で、生産や販売の情報をあげているのか? と質問したのですが、「そういう質問は、広報の許可が無いと話せません」とニヤニヤと笑みを浮かべながら、はぐらかされてしまいました。しかし、おそらくソニーエリクソンの携帯電話と同じように、かなり厳密なデータをソニー本社にあげて、生産や販売の量をコントロールしているのではないかと推測されます。

これまでのソニーの商品と言えば、テープ・レコーダー、トランジスター・ラジオ、トリニトロンTV、ウォークマン、ハンディ・カム、サイバー・ショット、プレイステーション、平面ブラウン管ヴェガなどなど、優れた機能や性能を持つ製品で、ヒットを飛ばし、他社がなかなか追いつけない間に、ブランドを確立し、他社が追いついた頃には、他社製品よりも高く販売できるようになっている、というものが多かったと思います。もちろん生産・流通の管理は、ソニーをはじめどこのメーカーでも日々行っていることは言うまでもありません。

しかし、ソニーエリクソンの携帯電話や、ソニーの液晶テレビ『ブラビア』は、先行する他社を追い上げる立場にあり、そのためには良い製品を出すだけではなく、追い上げていくために生産や流通の厳密な管理が必要となってきます。しかも、この2製品は、コモディティ化が著しく、また、他社もこれまでよりも簡単に類似の製品を出しやすくなっているだけに、よりいっそう生産・流通の管理が必要であると言えます。これが、ソニーエリクソンの携帯電話とブラビアの共通点だと言うことができます。

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