組織が停滞する時
サッカー日本代表のW杯におけるふがいない試合ぶりから、メディアやネットの世界では、その原因を指摘しようとする議論がおきています。
「中田選手の気持ちが、他の選手に伝わらなかった」という意見がある一方で、「いや、その中田が問題で、彼がいなければチームが、もっとまとまったはずだ」という意見もあります。しかし、私は、そのどちらの意見もとりません。なぜなら、そんなに簡単なことではないと思うからです。
私は、いまフリーランスなので、何の組織にも属していませんが、それでも、部活動、体育祭や文化祭、大学のサークル、会社に就職してからの組織、編集部など、人並みに組織に属した経験があります。そして、それらを振り返ってみると、組織や集団が、うまくいく具体的な要因って、よくわからないですよね。
特に誰かが強力なリーダーシップをとった訳ではないのに、チームがまとまり物事がうまく進むこともあるし、一人一人が一生懸命やっているにもかかわらず、かみ合わないことがあったり。ある飲み会をきっかけに、急にチームのまとまりができることがある一方で、飲み会をきっかけに険悪なムードが漂いはじめたり・・・。
そもそも、「各人のモチベーションを高く維持し、メンバーそれぞれの能力を最大限に引き出す」ことのできている組織や集団って、どれくらいあるのでしょうか? むしろ、そういうことのできていない組織の方が、ずっと多いですよね。もし多くの組織でそういうことができているのなら、組織論やリーダー論の本なんて、あんなに売れていないはずですよね。
ある分野におけるエリートを集めて、日本中が注目している状況に置かれているにもかかわらず、うまく機能しない組織の姿を目の当たりにすることができた。「あぁ、駄目なときは何やっても駄目なのね」ということを確認できただけでも、今回のW杯はきわめて有益なイベントだった、と言えるのではないのでしょうか。