『ASAhIパソコン』休刊に思ふ
朝日新聞社の『ASAhIパソコン』が、2月28日発売号(3月15日号)をもって、休刊するそうです。私も、海外ニュースを書かせていただいていたので、休刊は残念です。
担当の石川副編集長は、いつも丁寧に進行をしてくださって、とても仕事がしやすかったですね。
初校ゲラを点検する際には、いつも必ず校閲を通してから送ってくださるのですが、元雑誌編集者の端くれとしては、「いいなぁ、こんな丁寧に雑誌を作れて」と、うらやましく思ったものです。また、書き手としては、いつも、とても気持ちよく仕事をさせていただきました(ありがとうございました)。
ただ、ある原稿で「月極」と書いて送ったら、「弊社では『月極』は『月決め』と表記します」と言われた時は、ちょっとビックリしましたが・・・。
一般の人は、あまり意識していないと思うのですが、1つの雑誌においては、文字の表記は統一されるべきである、というのが出版界の常識でした。出版社で統一してしまう場合もあれば、雑誌ごとに統一する場合もあります。
何をどう表記するかということは、大げさに言えば、その出版社や雑誌の思想を体現することになります。また、表記を統一することで、記事を読みやすくするという機能的な意味もあります。
これに対し、インターネットの掲示板やホームページ、ブログなどに書かれた文章には、文字の表記に関して統一のとれていないものが多く、読みにくく感じることがあります。
しかし、この「表記の統一」が、どれだけ雑誌の売り上げに貢献してきたかは、実際のところ、よくわかりません。そして、出版界も不況が長引くにつれて、そういう部分にあまりコストをかけられなくなってきているようです。
これまでは、文字の表記に関するスタンダードを新聞社や出版社が作ってきたわけですが、インターネットの時代にも、その役割を、新聞社や出版社が担い続けるのでしょうか? それとも何か新しい仕組みが生まれてくるのでしょうか?