自分自身と向き合う~自分の取扱説明書のつくり方~
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こんにちは。リヴァの伊藤です。
先日ハーフマラソンに出場してきました。
完走は出来ましたが、膝の怪我を悪化させてしまいました。。
無理しちゃだめなのに変なプライドを捨てれずに無理しすぎてしまいました。
おかげで翌日は脚を引きずっての出社となりましたが、でも接骨院に行くきっかけにもなりました。
中途半端でリタイアしていたら、ずるずると長引かせていたかもしれませんからね。そう考えれば、きっとこれで良かったんです!
はい。
さて、今回は「自分自身と向き合う」ことをテーマにしたいと思います。
精神疾患においては、個々によって発症のきっかけや発症時の症状/期間は異なります。例として、うつ状態のときに食欲が無くなる方もいれば、逆に過食傾向になる方もいます。したがって、疾病そのものの理解だけでなく、"自分自身の特性"について理解を深めることが大切です。
この"自分自身の特性"というのは、疾患症状をはじめとして、思考や行動のパターン、うつ状態における対処策などを含んでいます。
これらの理解を深めることは、うつを乗り越えるプロセスにおいて非常に大切なステップだと考えております。このステップを通して"自分自身と向き合う"ことが、重度のうつ症状を再発させるリスクを減らすことに繋がるからです。
例えば、双極性II型障害(そううつ病)において躁期に入る周期をつかみ、その予兆が自身で把握できれば、活動量を抑える工夫や適切なタイミングでの通院・服薬を始めること等、事前段階で適切な対処をとることができます。
私どもが運営するオムソーリサービスにおいても、こういった自分自身と向き合う取り組みのひとつとして、「自分の取扱説明書(以下、取説)」の作成があります。
この「取説」は、これまで挙げてきた疾病症状や対処などについて、ご自身なりの解釈や再発防止のための準備策についてまとめたものになります。まさに、
「自分が"うつ"と付き合いながら幸せに人生を過ごして行くためのマニュアル」です。
ご参考までに、この「取説」作成のプロセスを簡単にご紹介いたします。ご興味がある方は、ぜひご自身でも一度作成してみてはいかがかと存じます。
ただ、「取説」を作る過程では、病に至った経緯や発症時の典型的な症状、回復へのきっかけ等、自身の辛い過去と直面することになります。
オムソーリにおいても「取説」を発表することは社会復帰前の卒業課題と位置付けていますし、非常に心身に負担のかかる作業です。作成途中に体調を崩す方もいらっしゃいます。くれぐれもご自身の体調と相談しながら、必要に応じて主治医の先生ともご相談のうえ作成を進めることをお勧めいたします。
<「取説」作成プロセス>
1. ムードカーブスの作成
うつや精神疾患を患っていた期間を振り返り、その時における気分や体調(ムード)の度合いを時系列にプロットして表す作業です。自身の気分や体調の波を客観的に捉えることができます。
2. うつ状態/躁状態の発症時、および発症前後の特徴的症状の振り返り
作成したムードカーブスをもとに、自身に特徴的な身体症状や精神症状についてまとめます。うつ/躁状態に差し掛かる時や回復傾向にある時についても振り返り、併せて対処策となりそうなものもピックアップします。
3. 自身の疾病に関する一般知識の理解を深める
あらかじめ上記プロセスで自身の症状特性を挙げた後、ここで初めて自身の疾病に関する知識や理解を深めていきます。一般的な疾病知識にとらわれ過ぎて、自身の特徴的な症状を見逃すリスクを減らすためです。
4. 対処策の検証、再構築
2.で講じた対処策について検証するステップです。社会に近しい環境・状態に置かれたときに、自身が考えた疾病およびストレス対処策が本当に有効かを確認していきます。
プログラムの中であったり、友人との交流の中であったり、それぞれの場でその対処策を実践してみます。復帰後にぶっつけ本番で対処にあたらずに、事前に対処策を検証しておくことが、復帰後の再発リスクを減らすために大切と考えています。
さらに、他人の目を通すことでその内容は洗練されていきます。ぜひご家族や主治医の方等にも「取説」の内容を共有し、良かった点やわからない点についてフィードバックをいただける機会としたら良いかと思います。
オムソーリでは、ステップ2が終ったところでの中間発表、ステップ4が終った状態での卒業発表と、2回の共有機会を設けています。共有発表後には必ず仲間からのフィードバックがあります。自身が困っていたポイントに対してアドバイスや曖昧であったポイントの指摘などを通して、より良いマニュアルが完成していきます。
同じ病を患った仲間同士で共有出来る一番のメリットは、仲間の真摯に"自分と向き合う姿"を目の当たりにすることで、「自分も、うつ(自分自身)に向き合っていこう。」という勇気をもらえる。のことは、発表をする側/聞く側の双方が、お互いに強く感じる点であると思います。
復帰してきた人にどう接していいか分からないなんてことはよく聞きます。
「取説」は人事や復職を受け入れる職場にとっても、差し支えない範囲で共有出来れば、お互いにメリットあるものだと思います。
今後もご本人、企業両面でこういった活動を広げていけたらと思っております。
今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
参考になれば幸いです。
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