製品開発販売は難しいことなのか:どうやって開発を進めるか?
昨日の記事「製品開発販売は難しいことなのか?」は、客先に向かう途中の空き時間にコーヒーを飲みながら書いていて時間切れで何となく中途半端だったので、続きを。。
昨日の話しでは、どういう製品を作るべきか、というあたりまででした。今回は、どうやって開発を進めるか、という話しを書いてみます。
製品開発販売事業は、製品が売れるまでの間、全く儲かりません。これは事業としてもっとも大きな問題で、これがあるので製品開発に踏み切れない、という方も多いことでしょう。資金に余裕があるときに取り組むのが一番なのですが、意外とそういうときは甘えてしまっていて、チャレンジなどしたくなくなったりするものという気がします。まあ、実際問題、余裕があるとのんびりしてしまいますので、製品開発に向いているとも限らないと私は考えています。
受託開発であれば納期は死守しなければ契約違反になりますが、製品開発はお客さんに迷惑をかけるわけでもないので、結構のんびりとしてしまって、期日を守れないことが多いのではないでしょうか。特に小さめの開発プロジェクトはそんな気がします。資金面で余裕がなければ、そもそも給料すら払えなくなるかもしれませんから、必死で前倒しにしようと頑張ることが期待できます。
また、製品は完璧を追い求めすぎると、いつまでたっても完成しないものなのです。余裕がない方が、まずは必要最低限からリリースして回収を早めようと考えることができるかもしれません。実は必要最低限からリリースするのはお金の面だけでなく、とても重要な意味があります。
製品はそれが世の中のニーズに合うかどうか、あるいは、受け入れられるのかどうか、わかりやすく言えば、「売れるかどうか」が基本的にほぼ分かりません。ひょっとしたらちょっとした工夫で売れるかもしれませんが、それを自分達で最初から気付くのは結構難しいことなのです。従って、まずは必要最低限の状態で、世に出してみることがとても大切なのです。もちろん、わざわざ問題だらけで自社の評判を下げるような状態で出せと言っているのではありません。品質はきちんと確認した上で、あまり懲りすぎずに出してみるべき、ということです。
多くの場合、製品をリリースしてみても、ほとんど反響がないことばかりでしょう。新製品などそんなものです。余程知名度・ブランド力がなければ、いきなり売れるということはまずありません。仕方ないので、知り合いにお願いして、ただでもいいから使ってみて、という感じになったりすることでしょう。そうやって第三者に使ってみてもらうことで自分たちが気付かなかった課題が見えてくるものです。さらに、第三者が使ったという実績ができるのです。誰も使ったことがない製品を、高いお金を出して使ってみるというのは余程の物好きか、あるいは、とんでもない製品くらいで、まずはどこかが使っているという実績が必要なものです。
最初から完璧を目指して、いくら時間をかけても、「実績」「第三者の評価」は決して得られません。これがとっととリリースした方が良い理由です。自分たちで「最高」と思っても、お客さんがそう思うかどうかは別問題なのです。「最高」に仕上げるためにはお客さんの存在が必要で、お客さんに使ってもらうのを先延ばししては駄目なのです。
当社の場合は、もともと待遇が出来高性をかなり取り入れていたため、いきなり製品開発をするからといって稼ぎをゼロにはできないという背景がありました。従って、受託開発などで稼ぎながら、製品開発も平行して進めたのです。製品をやりたいメンバー達は、その思いがあったおかげで、極論すれば、日中は受託開発、夜は製品開発、というくらいの感じで両立してくれました。もちろん、大変だったのですが、このシビアさのおかげで、「無駄に時間をかけない」「効率良く」というメリットが得られたとも言えます。
よく、「製品開発をやれというなら、予算をくれ」と言う人がいますが、期間や予算を与えてみると、実は全然モノにならなかった、ということが多い気がします。あまりにもカツカツでも辛いだけになりますが、「余裕」は「甘え」につながりやすいということを注意しておくのは大切だと思います。
逆に考えれば、「なんの余裕や猶予をくれなくてもやりたい!」という熱い思いがないようでは、製品開発販売事業など立ち上がらない、とも感じています。
製品開発販売事業のポイントは、他に、「どう売るか」「価格はどうするか」「サポートはどうなのか」など、まだまだあるのですが、またそれは書く気になったら・・・ということで。。