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プログラミングでメシが食えるか!?

100円のコーラを1000円で売る方法

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永井さんの著書「100円のコーラを1000円で売る方法」をご紹介しましょう。

この本は「朝のカフェで鍛える実践的マーケティング力(通称『朝カフェ』)」をベースに書き直したものだそうで、「朝カフェ」を読んだ方なら主人公「久美」の性格の違いを楽しみながら、また始めて読む方でも、小説を読むような感じでマーケティングの基本が頭に入るという本です。

例によって本の要約は書きませんが(自分で読むのが一番ですので!)、あらためてこの数年で自分自身が学んできたこと、経験してきたことを振り返るきっかけになりました。

私がマーケティングを学ぶ(というほどではありませんが)きっかけとなったのは、なんと言っても稲川さんです。稲川さんが大学院に通われている間、当社の企画担当として、ちょうどIT関連製品開発販売事業を立ち上げる時期に、私やメンバー達に講義してくれたのです。MBA(『Mini』 Business Administration)と名付け、本書にも登場するようなマーケティングの基礎を一通り教えていただきました。まさに本書の「与田さん」のような感じです。

教わると同時に、メンバー達と共に実際にIT製品を開発販売しながら、「新製品は売れない」経験をしたりしてきました。実際に今振り返ると、稲川さんの指導をその時点で理解して実践できていたことはとても少なく、結局は自分たちが本当に痛い目にあってみて「そうだったのか」と理解できたという気がしますが、いずれにしても、そのような考えの拠り所があると腑に落ちやすいものだと思います。

幸か不幸か、私は「人と同じことをするのが嫌い」という性格のため、もともとあまりお客さんの言いなりになって機能追加をしたりするようなことはしていなかったり、人から「そういう製品は無理でしょう」と言われても、むしろ「無理と思う人が多いならいけるかも」と考えるタイプなので、本書でも紹介されている「カスタマーマイオピア(お客さんの言いなりになること)」にはもともと陥りにくかったのですが、そういう方向性を説明するときにも、本書に書かれているような背景を説明できるか、あるいは、「私はこういうやり方が好きだから」で済ませるかでは、説得力に大きな違いが出ます。私は意外と自分の信念は大事だと考えていますが、その裏付けはとても大切なものだとも思っています。

「お客さんの言いなりになること」と、「マーケット・イン」は混同してしまいやすいものかも知れません。「自社中心の『プロダクト・アウト』の考え方は通用しないから『マーケット・イン』だ」、と言われると、「要するにお客さんの意見聞けと言うことだ」=「お客さんの言いなりになる」となりやすい気がします。そんなことを思っていたら「マーケット・イン」をさらに進めて「カスタマー・イン」という言葉もあるのですね。いずれにしても、自己中心的な製品・サービスは受け入れられませんし、お客さんの言いなりになっても駄目、お客さんの考えつかないような解決を提案できるようでなければ駄目、ということです。

マーケティングがわかれば儲けられる、というものではありません。そうであるならMBA保持者は皆大儲けできているはずですものね。稲川さんがこんなことを言っていました。「頭の中を整理して納得したいから学ぶ」と。理論通りにやれば成功するのではなく、自分で経験しながら考える際に、理論で裏付けをとって、納得する、ということなのでしょう。私もそう思います。失敗した際になぜ失敗したのか、成功した際にどうして成功できたのかを考えて納得できれば、また次の時にさらに上の地点からスタートできる、というようなものでしょう。毎回行き当たりばったりでは進歩がありませんものね。

このように、本書のようにわかりやすい流れで、マーケティングの一通りのことを学べると、私のようにほとんど自己流で考えているものを、整理する裏付けにも役立ちます。私がお薦めするまでもなくすでによく売れているようですが、さすが永井さん、です。永井さん、稲川さんのような方々と知り合え、いろいろと教えていただけるなんて幸せ者ですね。

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