「社員向けソーシャルメディア教育ビデオ」事例集
毎日のように,社員や関係者が炎上事件が報道されています。これを対策するために,社員向けソーシャルメディア教育の重要性が高まっています。社内勉強会を開催するケースも増えています。しかし,勉強会を企画・実施するためには,主催者側に相当な時間と労力がかかります。受講者も限定的になりがち,日程調整も大変です。そこで先ずは,マニュアルをつくって配信することが考えらます。多くの企業でその試みがなされていますが,通り一遍のマニュアルでは,なかなか社員に読んでもらえません。とりわけ,ソーシャルメディア・ポリシー等で策定される文書は,どうしても文字の羅列になってしまいます。これを周知するために,印象に残りやすい映像で訴求することが考えられます。今回は,海外企業が作成した「社員向けソーシャルメディア教育ビデオ」を4件紹介します。
■豪州 ビクトリア州法務局(Social Media Policy)
◯組織の概要
豪州ビクトリア州は、オーストラリアの南東部に位置する人口500万人の州。州都はメルボルン。その法務局が製作した局員向けビデオです。
豪ビクトリア州は、ソーシャルメディアを活発に活用しています。ソーシャルメディア・アカウントは一覧から確認することが出来ます。Facebookページが170件,Twitterアカウントが205件,Youtubeの公式チャネルも89件もあります。(件数には,ビクトリア州のアカウントだけでなく,オーストラリア政府のアカウントも含まれています。)
そのなかの法務局は,21,000人のスタッフと90,000人のボランティアで構成されています。
◯時間
4:20
◯ストーリー
・ビクトリア州のソーシャルメディア活用状況
豪州で最もインターネットユーザが多い州のひとつ。オンラインユーザの5人に4人はソーシャルネットワークを使っている。
・従業員とソーシャルメディアの関係
もはや,全ての従業員が使っていることが実態。安全にソーシャルメディアを活用するために,ソーシャルメディア・ポリシーを理解する。
・ソーシャルメディア利用時の注意事項
コメントはパブリックであることを忘れない、著作権に配慮しよう,組織や貴方のイメージダウンに繋がる行動は慎もう
等をFacebookやTwitterの画面にコメントのやりとりを例示しながら説明しています。
◯印象
軽快な音楽と、分かりやすいCGと簡潔な文章で表現されています。ナレーションは一切ありません。日本人でもおおよそ内容が分かります。ちなみに,法務局のソーシャルメディア・ポリシーはこちらに掲載されています。しっかり作られているので,後日詳しく紹介したいと思います。
■UPS(Social Media Guidelines Help UPS Employees Protect Their Reps)
YouTube: Social Media Guidelines Help UPS Employees Protect Their Reps
◯組織の概要
UPSはUnited Parcel Service)の略称。世界200カ国以上で展開する貨物運送会社。従業員は約40万人。一日あたりの取扱貨物1400万個以上。ブランドランキングでも常連の超優良企業です。情報投資に積極的な企業としても有名。
◯時間
2:53
◯ストーリー
・ソーシャルメディアって何
「便利だけと時々まずいことも起こります。なので、賢く使いましょう。」これをFaceookの画面や道路標識等を使って面白おかしく説明しています。
・UPSと社員の関係
あなたとUPSはイコール。「発言はUPSの発言と捉えられる」ことをFacebook,LinkedinのプロフィールページにUPSの所属であることを記述した画面を紹介することで説明しています。
・就業時の注意
トラックでの貨物を搬送している様子が撮影され,ネットや街頭広告に公開される例を紹介しています。
◯感想
屋外広告写真に発言内容が掲載されて,多くの人に広く知れ渡ることを頻繁に訴求しています。軽妙な語り口のナレーションも耳障りよく,シーンもどんどん切り替わり飽きずに最後まで楽しめます。
■Meltwater(Meltwater Employee Social Media Guidelines)
YouTube: Meltwater Employee Social Media Guidelines
◯組織の概要
欧州,北米,南米,アジア,アフリカ,オーストラリア全てに50以上の拠点を持つSaasサービス(ビジネス情報の配信サービス)を提供する会社。社員は800人以上。
◯時間
1:19
◯ストーリー
・Do(やるべきこと),Do'nt(やってはいけないこと)をGCキャラクターで紹介しています。
【Do】
プロフェッショナルな姿勢,信頼できる姿勢
ポストする前に考えること
丁寧に対応すること
【Don't】
怪しげな行動をとらない
製品開発などの機密情報を漏らしてはならない
酒を飲んで発言しない
・困ったことがあった場合の対応
上司に相談すること
・会社の権利
会社がガイドラインに違反した場合に,「投稿を編集」したり,「削除を要請」する権利を持っていることを伝える。
◯感想
シンプルなアニメーションと淡々としたナレーションで,社員がとるべき基本姿勢を,Do,Don'tで簡潔にまとめています。
最後に「目にあまる場合には会社側が行動することがある」ことをスマートに伝えているところが印象的でした。
■Salesforce(Social Media Policy - Employee Training)
YouTube: Social Media Policy - Employee Training
◯組織の概要
全世界で約10万社にCRMクラウドサービスを提供している企業です。従業員は4,000人を超えます。2011/4にはソーシャルメディアモニタリングプラットフォーム・ベンダーRadian6を買収して話題になりました。Radian6は前出のUPSでもモニタリングに活用しています。
◯時間
7:02
◯ストーリー
・ソーシャルメディア・ポリシーの重要性
「どうしてソーシャルメディア・ポリシーが重要なのか?」を説明しています。
・気をつけるポイント(5つの重要なルール)を紹介しています。
1 守秘義務
2 正直で透明性のある対応
3 相手に敬意を払うこと
4 憶測を述べない
5 集中していないときは利用しないこと
・相談窓口の紹介
・まとめ
「今日から会話に参加しましょう!」で結んでいます
◯感想
ビデオは、プレゼンテーション・ドキュメントを映像化したもので、ナレーションも事務的。正直退屈な,マニュアル然とした内容です。加えて,他のビデオが1〜4分であったので,7分は長いと感じました。しかし,前段の、会社が社員がソーシャルメディアに参加することを望んでいるメッセージや,どうしてソーシャルメディア・ポリシーが必要であるかについての説明は,上手だと思います。
これら各社は,教育ビデオをyoutubeにチャネルを持ち,公開しています。作成する場合には,以下のような点に注意されると良いと思います。
・ナレーション
ソーシャルメディアなので,語りかけるような口調が良いと思います。また,ビクトリア州のようにナレーション無しで訴求することも画面をしっかり見てもらうためには効果的だと思います。
・ストーリー
企業・組織によって訴求するポイントは異なると思いますが,推奨する活用方法を織り交ぜ「べからず集」にならないように注意しましょう。UPSのように実務中に経験しそうな事例で説明するとイメージしやすいと思います。同様に,FacebookやTwitterの画面を使って具体例を紹介することは,視聴者にとって理解しやすい手法だと思います。また,ビデオの長さは5分程度が限度ではないでしょうか。
以上,みなさんの組織のソーシャルメディア教育施策の参考になれば,幸いです。
Facebookページリニューアルのご報告
ループスのFacebookページをリニューアルオープンしました。
日本語の「ループス」も含めたページ名にしたこと、これまで未対応だったチェックイン機能のスポットに対応したこと、主にこれら2点を旧ページ「Looops」から改善しています。
この新ページ限定のコンテンツ・最新情報も発信していく予定です。引き続き応援いただければと思います。