選挙結果を予想するシンプルな方法
アメリカの大統領選では、有権者が最も重要と考える問題をうまく解決できそうな候補が選ばれやすい。そんな論文を紹介する記事を見かけました。ちらっとAbstractだけ見てみると……。
The model is based on the theory of single‐issue voting: voters will select the candidate who is expected to do the best job in handling the issue that is most important to them.
(意訳―我々が採用したモデルは「単一の争点についての投票」理論だ。つまり、投票者は自分にとってもっとも重要な争点をうまく解決できそうな候補を選ぶということだ)
"A simple heuristic to forecast elections" (Decision Science News)
われわれは "Take-the-best heuristic" (Wikipedia)というヒューリスティックによって判断を偏らせがちなので、選挙では「多くの有権者が重要と見なす争点について強い候補者が勝つ」という簡便な予測法が成立しそうだ、という感じの話でした。
争点はいろいろあっても、結局は最重要争点をおさえれば勝ち。ならば最初から勝てる争点に絞って戦えばよい。小泉自民党が郵政選挙で大勝したメカニズムを解き明かしてくれるような話です。
ハッとするものがありました。この記事は、あらゆる「ご提案」が参考にすべきポイントを明らかにしています。つまり、
あれもこれもできますという提案より、顧客が最も重要と考える(1つの)問題を解決できそうな提案が選ばれやすい
ということ。
ある程度成熟した業界では、どの提案者も似たような提案を出すことができます。つまり誰しも、Aという問題に対してはA'という解決策を、Bという問題に対してはB'という解決策を、用意できます。提案者によってA'がA"だったりするかもしれませんが、内容には大きな差がありません。
となると、「AでなくBこそが問題!」という視点がどれだけ顧客の(潜在的な)問題意識にマッチするかが、提案の良し悪しを分けることになります。何が顧客の最重要課題なのかという理解の深さが、提案の選ばれやすさに直結すると言い換えられるでしょうか。なんとなくサービスを念頭に置いて書きましたが、きっと製品でも同じでしょう。
- 顧客の最重要課題を突き詰めて、
- その解決に絞った提案をつくる。
- (それ以外のことはしない)
名付けて、single-issue proposal 。いや、Give-the-best proposal かな。