図書館における予約数/蔵書数の適正値
図書館で借りたい本が「数百人待ち」の状況について (Excite Bit コネタ) という記事を読みました。およそ「コネタ」なんぞというコーナーの記事をネタにしてエントリを起こすのもシャクですが、でもハッとしたのでメモしておきます。
記者はある区立図書館に出かけ、『1Q84 BOOK 1』に589件もの予約が入っていること、それに対して区が購入したのは21冊であることを知ります。ではどうやって購入冊数を決めているのか。記者は社団法人日本図書館協会の事務局をたずね、図書館が自主的に決めているという話を聞きました。
ハッとしたのはその後の部分、社団法人日本図書館協会理事・事務局次長のコメントでありました。
さらに、「予約何百人待ち」となる状況については、こんな苦言が。
「借りようと思っても借りられないというのは、本来おかしなこと。税金を払っている人たちが、税金の使われ方に対してもっと関心を持つべきで、図書館についても、人気のある本をもっとちゃんと貸すように文句を言うべきなんですよ」
そ、そうなのか……?新刊のベストセラーがガンガン購入されて、絶版となっている良書などほとんど図書館でしか入手できない本が押し出されるのは困るなあと思い、日本図書館協会のHPも覗いてみました。
僕の理解では、協会の問題意識は、そもそも図書館市場(というのかな、図書館が扱うべき本の数)自体が小さいぞ!ということなんですね。
だから、問題を「限られたスペースや図書館員をどう配分するか」ではなくて、「スペースも図書館員も足りない状況をどうするか」というところに設定したい。そのためには図書館需要をもっと創出しなければならないわけです、きっと。
タダで本が回覧されてしまう著作権者はどう考えているのか。探してみたところ、日本文藝家協会が国と地方公共団体に次のような要求を出していました。
- 図書館予算の増大。
- 専門知識をもつ図書館司書の増員。
- 国家または公的機関による著作者等への補償制度の確立。
「図書館の今後についての共同声明」(2005/11/8)
ところで、人口約18万人の我が市では5つの図書館に19冊の『1Q84 BOOK 1』があって、551人の予約が入っています。1冊あたり予約数は、551[予約]/19[冊]=29[予約/冊]。おや、さきほどの区では589[予約]/21[冊]=28[予約/冊]だったので、似ていますね!予約数なんて激しく変動するでしょうからコントロールは難しいでしょうけど、自治体で標準的に用いられているガイドラインがあるのかな。