ユーモアで飾る
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言葉よりも感情の方がずっと重要。だから言葉そのものと同時に、言葉の背後にある感情を読み取ることが不可欠なのである。
「よく聞く話だ」と思いますよね。「そんな分かり切ったことをしたり顔で言うなよ」と思うかもしれません。
では、こちらはどうでしょう。
経営者が顔を真っ赤にして「興奮しているって?わしゃ、しとらんよ!」と叫んでいるのを目のあたりにする時、言葉よりも感情の方がずっと重要なことを改めて知らされる。だからこそ、すべてのコミュニケーションにおいて、歌詞も当然のことながらメロディーにも耳を傾けることが、すなわち言葉そのものと同時に、言葉の背後にある感情を読み取ることが不可欠なのである。
『パラドックス系』
すでにお分かりの通り、最初の引用文は二番目からの部分的な抜き書きです。要するにまったく同じことを言っているのですが、こちらは「うまいこと言うな」「たしかにそうだよね」という感じではないでしょうか。
僕はそう感じました。おまけにこの文章には「コミュニケーションにおいては、中身よりも形式の方が大事だ」という、逆説的なタイトルが付いています。一読、クスッとさせられてから、その内容の当たり前さにハッとしてしまいました。どうして当たり前のことをこんなに面白く書けるのか。
経営者と音楽の、二つの例えが効いていますね。経営者の例が視覚に訴える(「目のあたりにする」)のに対し、続く音楽の例えが聴覚に訴える(「耳を傾ける」)ような例えになっているのも、著者が意識して施した修辞なのでしょうか。
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