事実や法則は、著作物ではない
»
『新しく発見した事実そのものや、ある事実から読み取れるデータなどは、著作物ではない』というくだりを読んで、ちょっとハッとくるものがありました。
たとえば、富士山の高さのデータだとか、地球温暖化により海流が変化した、とかの事実については、それ自体を「著作物だ」とはいえないことは、誰が考えてもわかると思います。それと同じように、さまざまな雑学的事実(トリビア)についても、それ自体では著作物と認められることはありません。しかし、それらの事実を、報告書や事実関係を証明する論文などの形で「表現」すれば、それが著作物になるということです。(p37)
「一般相対性理論」は著作物ではないのです。いくらなんでも「科学的事実」が発見者の「創作」だったとしたら問題外ですが、そういう理由ではなく、ようするに「科学的事実」を発見しても、それは「思想、感情を創作的に表現」したものではないので、前項の「トリビア」と同じあつかいになるからです。(p38)
林 幸助 『ちょっと待って、そのコピペ!著作権侵害の罪と罰』 実業之日本社 2008年
たとえば『最強セールス4つの法則』というビジネス書があって「この法則に従えば成功する。これは事実である!」と主張しているとします。
この本はもちろん著作物ですが、その法則自体は、著者がそれを法則であると謳うことにより、著作物ではないと宣言されたことになります。
普遍的に通用する法則や定理を発見したと謳いながら、その法則に関して排他的な権利を主張するようなビジネスは、怪しいということですね。
SpecialPR