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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

マイグレーション長者現る?

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ひとつ前のブログでマイグレーション関連のプロジェクトはデスマーチ化しやすいということを理由と共に書いたが、逆のケースでユーザの安易なマイグレーションに乗っかってぼろ儲けする(できる)ケースもあるので、ちょっと書いておく。

多くのマイグレーションプロジェクトでは、旧システム上のデータや文書を新システムへ移行する作業が発生する。こうした移行作業は、基本的には対象となるデータのボリュームに比例して増える単純作業の積み上げになる。この単純作業を従量課金で受託できた場合、そしてそれらの単純作業をツール等を使って機械化出来たなら、これは実のところかなり利益率の高いおいしい仕事である。

例えば、私の専門分野でこのところまた携わることが増えているグループウェアのノーツマイグレーションの場合、各部署で永年にわたって開発してきたデータベースが山ほど移行対象になることがある(多い)。そして多くのユーザ部門はこれら過去の遺産を資産と呼んでそのまま新システムへ移行することを求める。情報システム部門がこの要求に屈した場合、かなりのの量の移行作業が発生する。ノーツの特徴であるEUCやEUDで開発したこれらのデータベースはテンプレートを複製してちょっとだけ項目やビューを足しただけのものに過ぎないのだが、そうは言っても1DB単位に新旧の項目の対応表を作成し件数を数え漏れがないことなども確認しながら作業を進める必要がある。実際のデータの複製作業はツールなどで自動化するとしても時間と人手はそれなりにかかるのだ。こうした移行作業を対象dデータ量による従量制で外部に委託していた場合、受託側としてはウハウハ状態である。

ちなみに移行結果の確認は、どうしてもユーザ側で実施する必要があるが、ときたまこのテストや確認作業すら「ユーザは忙しい」からと派遣やパートを雇って代行させる企業もある。実のところ、移行というもの自体は企業の経営上全く付加価値を生まない行為であり、この付加価値ゼロの為に多額の投資費用を計上するなど愚の骨頂なのだが、現場の力が強すぎる場合、情報システム部門の統制力が弱い場合、そしてたまたま予算があったような場合にこうしたドル箱プロジェクトが発生する。

委託先も良くわかっているので、移行対象データベースは増えることを厭わない。従量課金であればやればやるほど儲かるのだ。移行対象データベースの切り分けや整理作業迄を委託先に一括で任せてはいけない所以である。

手前味噌にはなるが、移行の是非、移行の必要性、以降対象のデータ抽出については、我々のような外部の第三者のコンサルタントに判断を仰ぎ、いわれるがままに移行費用を積まないようにするのがコストを安くする秘訣だろう。

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