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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

組織内の情報活用環境については未だに仏作って魂入れず状態

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 CIO Magazineが毎年行っているアンケート調査 「CIO調査2012」を見てがっかりした。

 というのもITソリューションの実施状況(図9)の結果で、「情報共有/コラボレーション基盤の強化」については、相変わらず実施率が最も高い。既に実施したと回答したCIOは72%におよび「1年以内に(実施)予定」および「3年以内に(実施)予定」の比率を加算すると値は90%強に達するとある。
 ところが、ところがである。同じ設問の企業内情報検索基盤の強化やCRM等による顧客管理との関係改善/強化については、どちらも実施率は30%代に留まっており、3年以内の実施予定も7割以下である。基盤を整備しても、それを使いこなすソリューションは入れないという。

 実際に多くのCIOがメールやファイルサーバの整備や強化に使う協議書には決裁印を押し企業内インフラには相当の投資をしている現状だ。ところがその癖、検索エンジンやSFAシステムの導入にはハンコをつきたがらない。どうやらCIOはインフラさえ整備すれば、あとはユーザーが勝手に使って、業務に必要な情報を適当に探して、どんどんと顧客情報を共有し始めると思い込んでいるようだ。

 そんなことはない。この考えは間違えだ。例えばモバイル用にスマホを配れば営業が皆メールで業務連絡を行いスケジュール管理をスマホに移行するだろうか。iPadを配れば社員の全員がそれだけで毎日iPadを活用するようなワークスタイルに変革されるだろうか。答えは否だ。

 情報共有とよく一言で言うが具体的になにを情報共有するかというと、社内の文書等の成果物の活用や再利用が最初の一歩で、社内でコラボレーションを行う時にもっともよく出てくるのが、顧客に関する情報を共有し時には関係者で議論をするといった行動だ。企業内情報検索基盤もCRMもナレッジマネジメントが具現化したアプリケーションの一種だとされる所以である。

 インフラはあくまでインフラに過ぎない。ビジネスゴールを勝ち取りたいのであればインフラの上に適切なアプリケーションを構築し、さらにはユーザへ利用促進策を施す必要がある。CIO達には、早く情報活用系のソリューションの必要性に気付いてほしいものだ。

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