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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

新製品ラッシュは吉と出るか凶と出るか

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 サイボウズがPaaS「kintone」に続き「Cybozu SP Apps 2010」を発表している。このところ次々と新製品や新サービスを発表して賑やかで盛り上がっているようだが、果たしてこの戦線を大拡大する戦略をこのまま続けていて大丈夫なのかとも勝手に心配になる。
 というのも、サイボウズは従業員200人ちょっとの会社だが、既に製品ラインが10を超えている。いや製品やソリューションが多いのは別に悪いことではない。お客さんの多様なニーズに応えるという意味では良いことだ。パッケージを売る代理店としても、次から次へと新しい製品を提案できて困らないし、場合によっては他の製品を入れている既存ユーザを別の代理店が別製品で置換えるという形式での市場の掘り起こしもできる。

 ただ心配なのは、戦線を拡大しすぎると場合に寄っては既存の顧客の声が届かなくなったり、古い製品のサポートがおろそかになったりする可能性がある。戦線を拡大するのは良いが以前から製品を利用しているユーザのニーズ解決や機能強化、バージョンアップやデータ移行についてのフォローがおろそかになるのなら本末転倒だ。これまでも後継製品での上位互換性の問題などを不満に思うユーザは多かったし、例えばガルーンの後継製品なんて何年も狼少年状態になっていて一時期「次は無いのかも」みたいな不安になるような状況だった(結局はガルーン3が無事に出たけども)。自社の採用製品がずっとバージョンアップせず新製品ばかり出てくるとユーザは不信感を持ちやすい。これまでの他のグループウェアベンダーはこれまで苦労しながらもサポートとメッセージングによってもっと上手くやってきた。

 このあたりバランスとして難しいのだろうが、新しいものを作るパワーと既存のものをサポートするパワーのバランスが崩れているんじゃないだろうか。価格帯が異なって安価な売りきりのビジネスモデルを展開しているから仕方ないといえばそれまでだが、はて数年後にこの新製品ラッシュは吉と出るか凶と出るか、私個人はちょっとひいてみている。

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