グループウェア担当者の現場業務への関心は低い
先日ITRが発表した調査によると、企業のグループウェア製品については4割近くの企業が10年以上、5年以上使い続ける企業が65%以上となっている。(参考記事:「グループウェアを10年以上使い続けている企業が4割、次はクラウド化?」)
この記事の中で館野氏が、「コラボレーションツールへの投資意欲が上昇」、「長期的ビジョンが不可欠」と述べているのには同意するが、「自社開発システムが多い背景には、現場のニーズを優先させる風土があるため」というのにはちょっと首をかしげた。
仕事の担当の関係上企業のコラボレーションツールの担当者と話をすることが多いが、コラボレーションツールの担当者の大半が自社の情報共有基盤が実際にどう使われているかを理解していることは少ない。そして自社の業務の中でどう情報を活用すべきかの理想像やあるべき姿、別の言い方をするとグループウェアを使って日々の業務をどう改善するかに興味を持っている担当者は稀少だ。
彼らの関心事は、まずは日々の運営負担やコスト、次にグループウェア製品のバージョンやアーキテクチャーと稼働環境、最後に非常に細かい部分での機能の有無など、凄くシステム屋的だ。システム部門に所属しているのだからあたりまえで仕方がないことかもしれないのだが、それにしても現場での具体的な仕事の進め方やユーザのニーズをあまりにも知らないのに驚く。知らないと言うよりそもそも関心がないようで、現場からのヒアリングを行うこともないしヘルプデスクへの問い合わせや改善要望を分析した形跡もない。
冒頭の調査で一旦導入した製品を使い続けることが多いという結果が出たのには、担当者のこういう姿勢が影響している気がする。どう使っているかとか今後どうしたいかが無いので、製品を切り替える気は起きないし、切り替えるための投資なんて上層部に説明ができない。だからら一旦入れたコラボレーションツールはそのままになりがちだ。
グループウェアをはじめとしたコラボレーションツールは所詮道具だし、極端な話無くても業務は回る。だからその程度でも問題は無いのかも知れないが、果たして今後も本当にそれで良いのだろうか。