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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

中央集権的なポータルスイートに替りWeb2.0系のマッシュアップツールが台頭する

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 先日に続いて海外でイントラネットでの情報共有や情報流通を専門にしているコンサルタントやベンダー、専門家等の今年の予測を見て回っていたところ、カナダでイントラネット向けコンサルティングを展開しているPrescient Digital Media社のブログでも今年の予測が6つあげていた。彼らの予想の中で私が特に面白いと思ったのが2つめの予想で、「従来のポータル関連のソフトウェアはあまりに高価な為に会社の中に統合的なポータルを構築する形式でのパーソナライズの実装よりも、今後はマッシュアップやRSS、AJAX等の技術でパーソナライズを実現するほうが主流になる」というもの。

 確かに昨今のインターネットでのWebサービスの充実やFeedsやREST-APIを使ったマッシュアップの出来ばえをを見ると、イントラネットでも同じような仕組みを使ってよりユーザに近い側でパーソナライズを実現したほうが良いように私にも思えてくる。
 PrescientDigital社はその分野で注目するベンダーとして以下の4社を紹介していた。

  •  Dapper:マッシュアップ制作ツールベンダー。スクレイピング技術に優れておりマッシュアップを簡単に作成できる
  •  WorkLight:先日紹介したFacebookの企業内利用パッケージのベンダー
  •  Grazr:OPML Readerソフトを提供しており、Feedsを使ったより手軽な情報発信を支援することが出来る
  •  JackBuilder:同じくエンタープライズ向けマッシュアップサービスでブラウザーベースでのマッシュアップを実現するらしい

 マッシュアップの開発ツールベンダーが2社挙げられているのが興味深い。マッシュアップ開発ツールでは、他にもOpenKapowというベンダーが有名らしいし、日本でも既にいくつかのサービスが始まっているようだ。日本においては、イントラネットユーザのITリテラシーを考慮すると中央集権的なポータルスイートのほうがまだまだ現実的ではあるが、こうした技術は今年の注目株として引き続き見ていくことにしたい。

ちなみにPrescientDigital社の残りの5つの予想も簡単に紹介しておくと

  • ポータルマーケットでのベンダー統合
    これは、先日BEAのORACLEに買収が発表されて既に的中。エンタープライズポータルベンダーの統合と寡占化はここ2~3年で相当に進展して、数年前は30社近くあった当分野もマイクロソフト、IBM、オラクル、Vignetteの4社に集約されつつある。
  • ワークフローの衰退
    コンテンツマネジメントに関連するワークフローはその重要性の割に相変わらず注目されず、人々はメールやワードを使い続けている。ワークフロー関連はなくなりはしないけど衰退するだろう。
  • イントラネットのホームページは簡略化の方向へ
    乱立したホームページと不統一なデザインの氾濫するイントラネットはよりシンプルな方向へ進むだろう。
  • イントラネット管理の変化
    よりイントラネットを効率的に管理するための管理作業の分権化が進む。より迅速かつ効率的にイントラネット内のコンテンツを管理するには、中央集権的なやり方よりは権限を委譲した分権方式のほうが優れている。
  • Facebookの企業内での活用
    これは、先日紹介したものとほぼ同じで企業内でFaceBookを使う事例が増えるだろうというもの
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