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「割れ窓理論」は「荒れスレ理論」に置き換えられるのだろうか

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 SB文庫の「急に売れ始めるにはワケがある」を読んだ(注:オルタナティブ・ブログにはソフトバンククリエイティブの本を書評用に貰ってブログに書くという仕組みがあるが、今日のこの本は自腹で買ったもの)
 読んでみて判ったが、これはマーケティングの本では無く社会心理学とか実験経済学と呼ばれる分野の本だと思った。原題は「The Tipping Point」らしく売るためにこういうタイトルになったみたい。ちなみに私が読んだのは文庫本のほうであるが、ハードカバー本もあるようでITmediaのBiz.IDに書評が載っている。

 内容的に非常に面白い本だった。最後のほうの6章以降は読んでいて若干息切れした印象もあるが、前半ではいろいろな実験結果やデータをひきながら、人々がなぜある時に急に行動に踏み切るのか、どういう状況になるとブームが起きるのかを具体的な例で示してくれている。特に第1章と第2章にある口コミにおけるコネクター(媒介者)、メイブン(通人)、セールスマンといった役割の解説部分は、企業内コミュニケーションや風土改革に携わっている身としては非常に参考になる。
 さて実はこの本では「割れ窓理論」について第4章の『背景の力・原則3―人の性格に感染する背景』を丸ごと全部使うくらい大きく取り上げている。この章はこの章で非常によく練られていてとても上手く話が進めてあり頭にスラスラと入ってきて非常に良かったのだが、「割れ窓理論」を既に知っていた私はこの章を読みながら、別の事をふと考えてしまったのだ。

 それはネットワークコミュニティでも「割れ窓理論」は適用されるのではないかということ。ググってみたところ既に2年ほど前にはてブ界隈でいったんこの議論が盛り上がった形跡があった。
 
  いや、なんとなく、時々起きるネットでのいろいろな騒動を見ていて、特定の会社の社員が誹謗中傷的な発言をすると、その会社の提供するサービス内での議論が荒れやすくなったり、特定のブログ運営サービス上でいくつかのブログが炎上すると、そのサービスの他のブログが炎上しやすくなるような気がしているのだ。いやあくまで思っただけで、これは全然私の気のせいかも知れない。
 
 「割れ窓理論」がネットワークコミュニティでも適用されるのであれば、コミュニティでの発言者の行動はこのコミュニティでの環境(雰囲気など)に影響をされるということになる。例えば社内コミュニティで

  • 社内掲示板でビルの施設や食堂といった生活面での些細な不満が増えると、それは大きな経営批判発言を呼ぶ前兆

みたいな事が証明できると面白いし役に立つと思っている。誰かこういう調査の実測データを持ってないかしらん?

そして、もしかするとインターネット上でも

  • 炎上するスレが多い板はそうでない板より荒れやすい
  • いつも否定的なコメントを寄せる参加者が多いブログには(本文にはそういった表現がなくても)類似の人が集まり、自転車置き場の議論が多くなる
  • 逆にきちんとした丁寧な言葉遣いでいつも真摯な記事を書いているブログでは、たまにちょっとハメを外した発言をしても炎上には繋がらない

 なんて法則がもしかすると成立するかもしれない。

 最後に蛇足ながら一応付け加えておく

  • あるグループ(村)に稚拙な論理構成で特攻し、反論にあう
  • 有名ブロガーの斜に構えた物言いに憧れて真似したところ、未熟な罵倒芸を逆に罵倒される

これらはこの「荒れスレ理論」とは、まったく違う話だと思う。
たぶんきっと。

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