NIH症候群と社内SNSによるブレイクスルー
つい最近古いHBRを読み返していたらNIH症候群という言葉を発見した。
これは「Not Invented Here」の略だそうで、インターネットで調べてみると「NIH症候群」はもともとはコンサルティング業界で、ブレストや議論の際を行う際に以前のどんなに素晴らしい案があってもそれを良しとしないで一から考えてしまうという無駄の例で使われるようだ。
しかし私が読んだその記事では
他人が考えたものをただ実施するだけではやる気にならない
ということで、CFTのような企画部門が解決策を考えるだけで実行をラインに任せるというやり方では上手くいかない理由で使われていた。確かにコンサルタントが素晴らしい案を考えて顧客の現場に持っていって「さあやれ」というだけでは、何も起こらないという事は良く聞く話であるし、私自身も実際に経験したことがある。
さて、コラボレーション強化を目的としたナレッジマネジメントを企画してイントラブログや社内SNSを始めとした参加型のツールの導入の場合にも、このHIV症候群には特に気をつける必要がある。コラボレーションやコミュニケーションの必要性や効果は広く万人が心の底では認めているものである。ところがそれを他人から「やれ」と言われたとたんモチベーションがガクッと下がってしまう。
だからイントラブログや社内SNSを導入するときも、現場で自主的に自分達がブログをやりたいという機運を醸成してから導入したほうが良い。実際に先進企業の導入を見ても初期段階では勝手連的にブログを書き始めた例のほうが、その後拡大に成功にしている。やはり人から押し付けられたものではなく自分で「必要だ」とか「やりたい」と思ったもののほうが、参加意識が高まり巻き込み効果が生まれやすい。
特にSNSの場合、ツール自体がこの参加意識と巻き込み効果を促進する機能をもっているのだからこれを活用しない手は無い。友人を招待という機能がそれだ。自分が友人を社内SNSに招待するということは、自分に責任感が芽生え誘った友人の手前、日記を書き続けなければという気持ちが起きやすくなり、ひいては社内SNSを成功させたいという気持ちへとつながるのである。社内SNSの場合にむやみに全員参加を目指してIDを全社員に配るより、招待制のほうを薦める理由はここにある。