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EUC/EUDの統制とNotes

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#このエントリーを書いている途中で、日経コンピュータの最新号が届いた。「グループウエア最終戦争勃発」という特集記事は非常にタイムリーで思わず苦笑してしまった。

 Notes/Dominoに対する最近のユーザの不満は先日書いたとおりであるが、Notes/Dominoには欠点ばかりではない。あれだけのシェアを持っているのだから当然のことであるが長所というかNotes/Dominoだけとさえ言い切れる利点も多い。とりあえずこちらも羅列してみる。

・簡単なアプリケーションは(ユーザが)すぐに開発し運用開始できる
・メール・スケジュール・文書管理など1つのソフトだけでいろんなことが出来る
・大規模での導入・運用実績が多い
・高性能AIXサーバによりサーバ集約が実現できTCOが削減できる
・高機能なレプリケーション機能は、社内ネットワークに低帯域の拠点を抱える場合には非常に有効

 特にこのうちの上3つについてはNotes/Dominoの真骨頂であろう。先日も書いたがこの3つの点においてNotes/Dominoをそのまま置き換えられる製品は、現時点では無いと言い切れる。
 4つめについては、Notes/Dominoの話というよりはIBMのAIXサーバの利点によるところが大きいが、安易にNotes/DominoからMS系のソリューション群に乗り換えようとしてシステム構成を検討したらサーバ台数が3ケタになってしまい運用監視や構成管理面から断念したという話もあり、情報システム部門にとっては見過ごせない利点であろう。最後のレプリケーション機能の優位性については、世の中のブロードバンド化の流れに従い、徐々に利点として語られることが少なくなってきているがそれでも一部の企業では回線の帯域を理由にNotes/Dominoを使い続ける以外の選択肢はありえないという。

 さてそんなNotes/Dominoの強力な利点であるが、その中でも一番目に挙げた「NotesベースでEUCやEUDが簡単にできる」という利点について、昨今の企業内システムの動向と合わせてもう少し考えてみたい。
 Notes/Dominoユーザの多くは一緒に提供される開発ツールをつかって、Notesという基盤の上にアプリケーションを構築している。こういったアプリケーションは単純な文書共有やディスカッション用の掲示板のようなものから、稟協議をすべてワークフロー化するようなものまで多種多様である。初期の段階ではこのような開発をエンドユーザに開放し自由にデータベースを構築する企業が多かった。その結果生まれた多数のデータベースは社内に情報共有化や業務効率化のメリットをもたらせたが、その反面としてNotes/Dominoのバージョンアップの度に、調査・移行のコストとバージョンアップによるトラブル発生のリスクや逆に個別データベースの影響のためにメールシステムや基盤全体のバージョンアップ時期を遅らせざるをえなくなるというリスクが発生した。
 そしてその結果、今ではデータベースを開発する権限をユーザから情報システム部門が奪ってEUC/EUDを統制・管理する企業が増えている。このような企業ではユーザから開発ニーズが情報システム部門に依頼され、その後情報システム部門で各案件の優先順位や開発プラットフォームを判定するという流れを取っている。情報システム部門で統制をかけることにより、データベースの種類を絞り込みバージョンアップ時のリスクを最小化しようというのである。
 
 さてこれはこれで全社的なTCO削減の面では正しい選択肢であると思う。しかし、EUC/EUDを中央の情報システム部門で統制・管理するならば、冒頭に挙げた「簡単なアプリケーションはすぐに開発し運用開始できる」というのは、本当に今もNotes/Dominoの利点なのだろうか?

 開発を情報システム部門に統合したとしても、情報システム部門が開発を行うプラットフォームとしてもNotes/Dominoが他に比べて優秀であるので問題はない。確かに実際問題として簡単に情報共有ツールを開発できるツールとしてNotes/Domino以外に思い浮かぶパッケージは、筆者にもサイボウズのデジエデヂエくらいしかない。ただ今後はどうなのだろうか?その昔オープン系の技術者の少ない時代だとWeb系の開発を外注に出すよりは社内のNotes技術者を使ったほうが安価であっただろうが、昨今ではNotes技術者の高齢化と需給のバランスからそんなに安いとは言えないようだ。(ここではNotes/Dominoの独自のインターフェースの問題と逆にシステム全体の統合度のことはちょっと置いておく)
 
 もちろん未だに末端のユーザ部門でEUC/EUDを推奨・推進している企業もあり彼らにはこの仮説は当てはまらない。Notesの技術者が大量にいてユーザニーズに素早く適切に対応できている企業もだ(まったくの余談だが、最近世の中にはBlogをNotes/Domino上で開発したつわものもいると知って驚いた)
 
 繰り返しになるがNotes/Dominoをどうするかという問いへの答えは企業毎に異なる。そしてその判断軸のうちの大きなひとつが、今後社内のEUC/EUDをどのように考え捉えていくかというITガバナンスの面でのIT戦略である。社のIT戦略としてEUC/EUDを推奨していくのかそうでないのか、情報システム部門で集約開発するのであればそのプラットフォームとして何が適当なのか。これを明確にすることは必要である。

#誤解が無いように補記しておくが、Notes/Dominoをどうするかという問いへの判断軸はこれだけではない。(例:既にEUC/EUD開発してしまったものをどうするかなど)

Comment(4)

コメント

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> 確かに実際問題として簡単に情報共有ツールを
> 開発できるツールとしてNotes/Domino以外に
> 思い浮かぶパッケージは、筆者にも
> サイボウズのデジエくらいしかない。

Tuigwaaがこれから期待できそうです。
http://tuigwaa.sandbox.seasar.org/

恥ずかしながらTuigwaa (とぅいがー) のことはまったく知りませんでした。
 @ITの記事も含めてちょっと勉強させていただきます。

以前いた会社で Notes 4.x を使っていました。 3.x から評価を始めて、導入を推進した立場でもありました。
情報共有、ナレッジ蓄積だけでなく、ちょっとしたアプリも比較的簡単に作れる所がメリットでしたね。 反面、当時はWeb連携、システム連携、検索機能などが弱かったという印象があります。
Notes を触らなくなって8年以上経ちますが、いまだに Notes を置き換えられる機能を持った製品・ツールはなかなか無いですね。
現在は、MSのSharePoint中心の仕事をしていますが、SharePoint 2007でようやく機能的にベースラインに追い付いた?という雰囲気です。

私もGWの分野においては、Notesの前にGWなし、Notesの後にGWなしだと思います。それほどまでにNotesの功績は大きい。
 掲示板やディスカッション、プロジェクトごとのドキュメント共有といったGWの使い方からレプリケーション、ロールベースのACL管理といった技術的なものまでNotesによって普及したコンセプトやテクノロジーは山ほどありますからね。

 ただ最近「ついに時代が変わった」という印象も感じます。ポストNotesはMSなのかWeb2.0なのかはまだよく分かりませんが・・

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