Lotusphere2006で発表されたアクティビティセントリック・コンピューティングという概念
実は私は先週まで米国のオーランドに行っていた。IBMが毎年開催しているLotussphere2006に参加したのだ。さっそくその感想をレポートしてみる。
毎年ここでIBMのLotus製品群の今後の戦略が発表されることもあって、情報共有系を専門としている私としては、生の情報をGetするためには、是非参加すべきイベントだと思っていたのだが、これまでなかなか都合があわず、結局今回が初めてとなった。
ところが今回は何が災いしたのか出発の日の1月21日に関東で大雪が降り、なんと成田で飛行機に乗り込んだ後に11時間もそこで足止めという最悪の経験をすることになってしまった。このおかげで、止まっている機内で機内食を食べるという貴重な体験もさせていただいた(^^;)しかしその中で、飯も食わずに9時間も待たされてもあまり文句を言わない日本人の忍耐強さ(横で騒いでいる欧米人とも比較して)には自分も含めて改めて感心した。
そうこうして結局オーランドに着いたのは予定より1日遅れた1月22日。まあもともとこの22日はビジネスディベロップメントデイということで遅刻してもいくつかセッションを聞き逃がしただけですんだのは幸いだった。
翌日の1月23日の午前中が、Lotusphereのメインイベントである基調講演であった。この中で、すでに他のメディアで発表されているようにいくつかの新製品が発表されたが、実のところ今年の内容はは私にとってはあまりぱっとしたものではなかった。
おととしのLotus製品の継続発表、昨年の20周年の発表の熱気を事前に参加者から聞いていたからだろうか?今年も何か面白い内容の発表があるのかと思って期待していた私は、期待しすぎて見事に肩すかしを喰ってしまったのである。
Notesの次期バージョンである「Hannover」のデモ画面は、基本的にNotes7の延長で目新しいものではなかったし、SameTimeもWorkplaceも新製品が発表されていたが、中身は細かい機能追加が中心で目を見張るような新しい機能は無かった。
実際会場が盛り上がった数回の話題のうちのひとつはBlackBerry対応のところだったりして私にはどうもインパクトにかけた基調講演であった。
※BlackBerryは今米国のビジネスマンの間で猛烈に流行っている双方向ページャー(ポケベルの進化形)のことである。
ただ、その中でも基調講演の最後のほうにあった、「アクティビティセントリック・コンピューティング(Activity-Centric Computing)」というコンセプト(概念?)の発表にはかなりの興味を惹かれた。
「アクティビティセントリック・コンピューティング」は講演のなかでさらりと言われたキーワードだったので一見見過ごしがちだが、今後非常に重要になるキーワードだと直感している。個人的は、これは数年前にIBMがWorkplaceというキーワードを出してきたとき以来の新しいものだと思うし、今後のこの分野の流れや目的地をかなり明確にあらわしているのではないかと直感しているのだ。
最近の企業内情報共有では、ポータルなどを使って社員個人の欲しい情報をまとめて1画面に表示をするというのが主流なコンセプトである。ただこのとき情報をどう見せるべきかというと、それは情報の発信者側が押し付けるのではなく、見ている本人にあわせて表示してあげたほうがよいはずである。その時に各個人は情報をどのように関連付けるのだろうか?日本では時々朝から晩までスケジューラを立ち上げてそれベースで仕事を進める人がいることを考えると。自分の起こすべき行動(あるいは起こした行動)がまず第一にくることが便利そうである。すなわち自分の果たすべき役割や行動がまず中心にあって、関連情報はそれに紐つけられているにするのはかなり自然な情報整理の方法だと思う。人によっては、この作業をスケジューラではなくメールをベースに行っているかも知れないが、メールという媒体で運ばれてきた連絡や指示を活動の基点として情報を整理している人は多いのではないか?
IBMでは今回発表したWorkplaceClientManager2.6でこのアクティビティセントリック・コンピューティングへの対応を明確に打ち出し、次のバージョ3からは、はアクティビティエクスプローラーなるものの提供を始めるという。
この「アクティビティセントリック・コンピューティング」というキーワードについては、IBMからの追加のメッセージの提供を待つとともに、もうちょっと自分自身でも反芻して意味や位置づけを明確化していきたいと思う。
最後に全体的に低調とは書いたが、それでもこのイベントには6000人以上の人がつまり、いろいろと面白い話は聞けたので、そのあたりのLotusphereでの話も、またおいおいとこのブログで紹介していこうと思う。