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Windowsの話題を中心に「知っているつもり」のお話を書いてみます。

第9回 Windowsのアクティベーション

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 今回はWindowsのアクティベーションについてお話しします。正確にはライセンス認証でMPA(Microsoft Product Activation)とも呼ばれています。アクティベーションの目的はソフトウェアの不正コピー防止にあります。以前はそのソフトウェアたとえばWindows2000とかとプロダクトキーがあれば一つのライセンスで複数のPCにソフトウェアがインストールできてしまいました。もちろんこれはライセンス違反になります。この不正コピーに関してもいろいろとあります。完全に営利目的のために悪意を持ってコピーするもの、そして友達同士で気軽に貸してあげてコピーするとか、自分の持っている複数のPCにライセンス数を超えてインストールしてしまうものがあります。後者はカジュアルコピーと言います。これも常識的には違反であることを知ってやっているのですから悪意があると言えるのですが。カジュアルコピーであっても不正コピーであり、ソフトウェアの著作権を侵害していることには代わりありません。こうしたすべての不正コピーを防止するためにアクティベーション(プロダクトアクティベーション)を導入しています。

提供方法による違い

 WindowsではWindowsXPからこのアクティベーションを採用しています。また、Windowsの提供方法にはいくつかのパターンがあります。

  1. ボリュームライセンス
    企業向けにまとめて提供されるもの。
  2. メーカーPCのプリインストール
    メーカー製PC(富士通、NEC、東芝など)のPCにプリインストールされるもの
  3. DSP版
    OEM(Original Equipment Manufacturing:相手先ブランドによる供給)の一つで、パーツショップなどでパーツとセットで購入できるもの。ショップブランドのPCにも適用。
    Delivery Service Partner versionの略
  4. パッケージ販売版
    PC専門店、家電量販店などのソフトウェア売り場で購入できるパッケージ。

まず、ボリュームライセンスについてはアクティベーションは不要です。次に、メーカーPCのプリインストール版についても出荷時にアクティベーションを済ませているケースが多く通常はアクティベーションが不要です。いわゆるプリアクティベーションというもので、各メーカーのBIOSの情報とWindowsを関連づけて一致すればアクティベーションなしとします。SLP(システムロック・プリインストール)と呼ばれています。ここでお話するのは残りの二つ、DSP版とパッケージ版のWindowsのアクティベーションについてです。これらのアクティベーションは我々ユーザーが行わなければなりません。

アクティベーションでやっていること

 これらのWindowsのアクティベーションはインストールしたときの情報をマイクロソフトにインターネット経由で通知して、マイクロソフトからデジタル証明書を発行してもらうというかたちで行います。こうしてライセンス認証されたWindowsは「正規に入手したWindows」として使うことができます。

 また、インターネット接続ができない状況では電話によるアクティベーションを行います。50桁の数字が表示されますのでガイダンスに従い入力します。この50桁の数字の内容は下記のプロダクトIDとハードウェアハッシュから算出されたものになります。

 アクティベーション(ライセンス認証時)には、プロダクトIDとハードウェアハッシュをマイクロソフトに送信します。まず、プロダクトIDとはプロダクトキーから生成されるコードのことを言います。プロダクトキーとはみなさんがインストールする際に入力する16桁の英数字の文字列です。パッケージにラベルに書いてあることが多いのですが、MSDNで提供される場合は別途発行されます。ここで生成したプロダクトIDは9バイトのデータになります。次にハードウェアハッシュですが、こちらはそのPCのハードウェア構成から算出したハッシュ値で、8バイトのデータになります。

ハードウェア構成が変わると再アクティベーションになるケース

 ここで別のPCにWindowsを移行した場合、内部を構成するパーツを大幅に変更した場合は「別のPCになってしまった」と判定します。つまり再アクティベーションが必要と言うことになります。ここの変化を示すのがハードウェアハッシュになります。ハードウェアハッシュ算出時に参照するのが下記のハードウェアを構成する内容になります。

コンポーネント名 ハッシュ値(ビット数)
ディスプレイアダプタ 5
SCSIアダプタ 5
IDEアダプタ 4
ネットワークカードのMACアドレス 10
搭載メモリ容量 3
プロセッサタイプ 3
プロセッサのシリアル番号 6
ハードドライブデバイス 7
ハード ドライブ ボリュームのシリアル番号 10
光学ドライブ(CD-ROM/DVD-ROMなど) 7

(*) マイクロソフト Technetより

この情報はWindowsXPの時の情報でWindows7に関しては情報が見つかりませんでしたが、大筋変わっていないはずです。また、”かなり相違している”場合、再アクティベーションとなっていますが、ここの具体的な値は公表されていません。但し、下記の情報まで公表されています。下記のケースにおいては再アクティベーションが必要になります。

  1. ネットワークアダプタが挿入されていて交換されていない場合で、他のハードウェアが6つ以上変更された場合。
  2. ネットワークアダプタが挿入されていて交換しているまたはネットワークアダプタが使われない場合で、他のハードウェアが4つ以上変更された場合。

但し、年4回までは上記の”かなり相違した場合”であっても、再アクティベーションは発生しません。「経験豊富なパワーユーザーがシステムを変更できるように」との配慮です。(あ、独身貴族時代にパーツをいつも交換していた私のことですね。(^_^;))

インターネット経由による認証できない場合 - 来るべき対話のために -

 インターネット経由による認証ができない場合があります。正確な定義付けは不明なところがあり申し訳ないのですが、上記の年4回を超えてしまった場合と考えています。「このプロダクトキーでWindowsのライセンス認証を行うことができる回数を超えました」と表示されることがあります。私はWindowsVistaで経験しました。この場合は電話によるアクティベーションということになりますが、二つのパターンがあります。まず一つは、自動応答によるアクティベーションと、もう一つはマイクロソフトのオペレータとの直接対話によるアクティベーションです。この来るべき対話(??)に備えてお話ししましょう。

 まず、インターネット経由の認証ができない場合、自動応答によるアクティベーションを行うのですが、これでもアクティベーションができない場合があります。その場合直接対話になります。私の経験では自動応答でアクティベーションできたことはなく、すべてマイクロソフトの方とお話してアクティベーションしました。ちなみにこの有人窓口は24時間365日対応とのことです。私も保守業務をするのですが、本当にお疲れ様です。(実際、夜中の1時過ぎに電話して対応していただいたときは「大変お疲れ様です。」とお礼を言ってしまいました。)

 この場合でも50桁の番号を言った後に、マイクロソフトの方から42桁の数字を教えてもらいます。もちろん、数桁に区切って教えてくれてちゃんと認証できるところまで付き合ってくれます。但し、OEM版の場合は番号からわかるんでしょう、「それはOEM版ですね。」という質問が始まります。「どうやって入手したか」から聞かれます。つまり、違法なものでないかを確認するんです。私の場合WindowsVistaのDSP版ですが、それを説明してもどうもメーカーPCバンドル品を流用しているのではないかという感じで、「ビックカメラ藤沢店のPCパーツコーナーでELSAのGeForce7600GTのビデオカードとバンドルして買った」とまで説明を何度かしてわかってもらえてという感じです。(いや、ビックカメラ藤沢店は余計だったが。)最後に「このWindowsVistaをインストールしているPCには本当に同時に購入したビデオカードが使われているか」と念を押されてやっと番号を発行してくれました。もちろんこちらに問題がなければきちんと説明すれば伝わります。また、マイクロソフトとしても慎重に対応していることがわかります。事実ネットオークションなどで不正に入手したOEM版のWindowsはここで弾いています。

 昔は媒体にプロテクトをかけて(正当な理由であっても)バックアップがとれなかったりと困ったことがあります。いずれにしても、このプロダクトアクティベーションというのはよく考えられたものだと思います。

ポッドキャストでもお話ししています

今回の内容は私のポッドキャスト番組でもお話しさせていただいております。
下記のリンクから聴くことが出来ますのでよろしかったら聴いてみてください。
WoodStreamのデジタル生活 第55回 「Windowsのアクティベーション」

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  • 「ASP.NET MVC と jQuery で実践する標準志向 Web 開発」
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