「ヨン様♡マダム」と「キムタク♡マダム」を比べてみました。-データから見るペルソナ図鑑(12)-
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先日「韓流ビジネスはこのままでいいのか」という記事をみかけました。韓国では「韓流ビジネス」を、国をあげたグローバルな拡販政策で展開してきました。しかし、売上高ほとんどがアジア地域にとどまり、利益面でも韓国にそれほど貢献していない実態が浮き彫りになってきたそうです。
例えば「K-POP」の国・地域別の売上高比率は、アジアでの売上が99%を占め、なかでも日本が80.8%と突出しています(韓国コンテンツ振興院)。対日偏重が問題になっていますが、現状では日本を離れるとビジネスが成立しないというジレンマを抱えていると指摘されています。
日本に「韓流ビジネス」は、確実に定着しました。これは「冬のソナタ」の大ヒットから始まったと記憶しています。主演した「ペ・ヨンジュン」は元祖韓流といっても過言ではないでしょう。と、言うわけで、今回は「ペ・ヨンジュン」が好きな女性に焦点を当ててみたいと思います。比較対象はSMAPの「木村拓哉(キムタク)」を好きな女性ということにしました。実はこの二人、どちらも1972年生まれで、今年40歳になります。それでは、日韓の男性タレントのファンを見ていきましょう。
【「ヨン様♡マダム」と「キムタク♡マダム」】
どちらも年齢層は高めです。平均年齢では「ヨン様♡マダム」が51.7歳。「キムタク♡マダム」が46.8歳。ぺるそねの女性の平均年齢の42.7歳と比較しても4歳〜9歳も高いことになります。50歳代以上の割合は「ヨン様♡マダム」は64%、「キムタク♡マダム」が約半数と、こちらも高率です。「ヨン様」と「キムタク」は40〜50代以上のファンに支えられています。
年齢層
「冬のソナタ」が2003年に日本で放映されてからもう9年も経っています。キムタクは1990年代の中頃から15年以上も人気が継続しています。二人とも、とても長い期間トップスターでいたわけですが、人気がブレイクしたあたりにファンになった方達がそのままファンの中心層を形成し、本人達の加齢にに併せてファンの方々も加齢してきたということになります。
職業はどちらも専業主婦層が中心です。世帯年収も平均よりやや多い程度ですが、300万円〜500万円がボリュームゾーンであることは変わりません。最終学歴はどちらも全体と比較し高卒、短大卒が2割ほど多くなっています。これも年代的な特徴です。
【「ヨン様♡マダム」と「キムタク♡マダム」の特徴】
ともにバブル期を経験した人が多いこともあり、「ブランドものを持つのが好きな」人達で、「多くの人が訪れる話題のスポットへでかけるのが好き」でもあります。「ヨン様♡マダム」の思われたいセルフイメージは「理性的」「洗練された」「夢のある」などで、「キムタク♡マダム」の思われたいセルフイメージは「はつらつ・若々しい」「元気な」「頼りがいのある」「家庭的な」などです。
以下それぞれの特徴をかいつまんで見てみると...
「ヨン様♡マダム」
- 趣味は「国内旅行」「園芸ガーデニング」「海外旅行」「観劇」「占い」
- 興味関心は「健康・医療」「花・園芸」「生涯学習」「介護・福祉」
- 折り込みチラシから情報を得る人が平均の1.4倍
- テレビの平均視聴時間は3.4時間(女性の平均は3.0時間)
- SNSを利用している人は31.3%
- 平均末子年齢は19.9歳
「キムタク♡マダム」
- 趣味は「テレビ・ラジオ」「岩盤浴」「スパ」「ネイル」「エステ」
- 興味関心は「TV・番組・有名人」「医療・健康」「日本酒・焼酎」「ギャンブル」
- テレビの視聴時間は3.5時間(女性の平均は3.0時間、ヨン様♡マダムよりも多い)
- ソーシャルメディアはGREEを利用している人が平均と比べて1.3倍
- 平均末子年齢は17.0歳
「ヨン様♡マダム」の方は子育てから解放され、気楽に自分の趣味に打ち込んでいたり、出歩いている姿が見えてきますね。一方「キムタク♡マダム」の方はまだ子育てからの解放は、完全にはされていないようです。家族中心の生活が続き、身近な娯楽としてのテレビに走る、というところでしょうか。双方ともテレビはよく見ていますが、「キムタク♡マダム」の方が有名人など、テレビ放送周辺の情報に興味が高いようです。
テレビの視聴時間
【購買行動】
「ヨン様♡マダム」は「あずきバー」など、あずきの入ったアイスをよく買います。中でもオハヨー乳業の「抹茶あずき」がお気に入りです。ドレッシングは「ピエトロドレッシング」がトップに来ています。「ドクターシーラボ」のスキンケアを使い、メイクでお気に入りは「シャネル」ですが、「DHC」も使います。
「キムタク♡マダム」はかき氷系のアイスやレディーボーデンなどの高級アイスなどがお気に入りです。また、体脂肪が気になっているのか「ヘルシア緑茶」や「ヘルシアウォーター」を買う率が女性平均より1.6〜1.7倍あります。スキンケアは「ビオレ」「ソフィーナ」などを購入し、メイクは「シャネル」「ソフィーナ」を好みます。なんだか「花王」の製品が多いですね。
「ヨン様♡マダム」はデスクトップ、「キムタク♡マダム」はノートという違いはありますが、どちらも富士通のパソコンがお気に入りのようです。
ファッションの好みはいつものようにペルソナ・イラストを掲載しますのでそちらをご参照ください。
ペルソナ・イラスト
【なんとなくの考察】
さて、初期の「韓流ビジネス」を支えてきたのは噂に違わず中高年の女性でした。子育てから解放された彼女たちは、同世代の主婦の友達と一緒に韓国ツアーなどに行っている状況が垣間見えます。そう言う意味では「ヨン様」および「韓流ビジネス」にとっての優良顧客ということになります。
実際「ヨン様」が日本でブレイクしたのは「冬のソナタ」からでした。内容的には「ちょっと込み入ったトレンディードラマ」という感じですね。だからターゲットはF1、M1層だったのではないかと思います。でも、あのドラマがなぜターゲットとは違う40代以上の主婦に強く支持され、その人達が「ヨン様♡マダム」として長年「韓流ビジネス」の優良顧客となり得たのか?という点がとても興味深いですね。
それにしても、どちらもファンの高齢化が確実に進行しています。これはブランディングに例えると、新しい顧客の開拓ができていないということになります。メジャーなブランドが、経年による顧客の硬直化を起こしている状況、と言ってもいいでしょう。このような状況に陥ったブランドは衰退の道を歩んでいくことになる訳ですが、この二人の次の戦略はどのようになっていくのか?。注目したいと思います。
※ここで取り上げて欲しいブランドユーザー、比較してみたいブランドユーザー等ありましたらリクエストをお寄せ下さい。(データの取得の問題でご希望にそえないこともあるかも知れませんが、頑張ってみますので...) → Twitter ID @keijix55
※データは全て2011年9月「ぺるそね」調べ。n=29,093
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