オルタナティブ・ブログ > 消費者理解コトハジメ >

マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

facebook女子とmixi女子の違いとは? -データからみるペルソナ図鑑(3)-

»
FBvsMixi_title7.png

 ここまでフェイスブック(facebook)の女性ユーザーとミクシィ(mixi)の女性ユーザーの特徴を見てきましたが、まとめとして、この二つのユーザーを クラウド型消費者分析ツール「ぺるそね」* のアンケートデータから比較したいと思います。

【facebook女子とmixi女子を比較してみる】

 年齢的にはfacebook女子の方が年上です。mixi女子の平均が34.7歳に対し、facebook女子は39.4歳。約5歳も上でした。mixi女子は34歳までで57.9%に達しており、facebook女子の48.4%を大きく上回っています。つまり、facebookの方が幅広い年代の女性に利用されていることがわかります。

 facebook女子の平均年齢は高いのですが、既婚率は10%ほど低くなっており、ひとり暮らしの率も25%ほど多くなっています。また、mixi女子は専業主婦、パート・アルバイトが比較的多くなっており、facebook女子の方が高学歴という特徴があります。

年齢層の比較
F vs M年齢層.png

 以下facebook女子とmixi女子の比較をまとめてみると
  • 「デパート・百貨店」でよく買い物をする人は、facebook女子の方が1.3倍多い
  • 趣味が「海外旅行」と答えている人は、facebook女子の方が1.9倍多い
  • 趣味が「漫画」「カラオケ」は、mixi女子の方が1.2~1.3倍多い
  • facebook女子の興味関心事は「語学」「ワイン・ウィスキー・洋酒」「ビジネス」「生涯学習」などが特徴的で、mixi女子に比較し1.5~1.8倍ほど多い
  • mixi女子の興味関心事は「TV・番組・有名人」「アニメ・漫画」「ゲーム」「子育て」などが特徴的で、facebook女子に比較し1.2~1.3倍多い
  • スポーツに対しアクティブなのはfacebook女子で「ジョギング」「水泳」「ゴルフ」「サイクリング」などがmixi女子と比較し1.8~2倍多い
  • mixi女子はスポーツをしていない人が半数以上(55.8%)でfacebook女子の1.3倍多い

 前回のブログ「mixi女子ってどんな人?」と前々回の「facebook女子ってどんな人?」で見てきたことをもとに、独断と偏見で簡単に言ってしまうと...

 facebook女子は「グローバル志向が強く、アクティブなライフスタイルを送っており、自分自身のセンスや能力を磨くことに熱心で、周囲の人たちに頼られる存在の人」で「先端を走りたいと思っているアーリーアダプター層」と考えられます。

 それに対し、mixi女子は「自分の生活の場を大切にしたいと考えており、周囲の人たちとの協調性を重視しているタイプで、場の空気を読み気配りできる人」で「時代の流れに乗り遅れないように考えているフォロワー層」と考えられます。


【消費行動の差異】

 facebook女子の方がミネラルウォーターの消費が多いようです。特に「ボルヴィック」「クリスタルガイザー」「エビアン」「コントレックス」「ペリエ」などがmixi女子に比較し1.5〜1.8倍選ばれています。

 飲酒の状況を見てみると、飲まない人の割合はさほど変わりませんが、facebook女子の方が頻度が高いようです。週一回以上家で飲む人の割合はfacebook女子が44.0%、mixi女子は35.4%。月一回以上外で飲む人の割合はfacebook女子が47.7%、mixi女子が35.1%と、facebook女子の方がお酒をよく飲んでいる様子が伝わってきます。

 facebook女子はビール好きの人が多いようです。「スーパードライ」「一番搾り」「ヱビスビール」などを中心に、ビール全体の選択率でmixi女子を大きく上回っています。また、日本酒、焼酎も全体の選択率が比較的高く、男性と変わらないお酒の飲み方をしている人が多そうです。

 一方mixi女子はチューハイ・カクテル好きです。「ほろよい」「カクテルパートナー」「カクテルカロリ」と言った甘いフルーティーなお酒を好んでおり、最近増加してきたと言われている「お一人様家飲み」層の中心にいる人たちと言えます。

 面白いところではmixi女子は無印良品がお気に入りで、雑貨、文具、化粧品と多岐にわたってfacebook女子に比較し支持率が高くなっています。また、好きなキャラクターの中で、「リラックマ」と「コリラックマ」の支持が高くなっています。facebook女子と比較し、1.4〜1.5倍多くなっており、ゆるキャラ好きの一面を見せています。


mixi女子 vs Facebook女子の比較イラスト
コトハジメ⑦.002.png


【mixiとfacebookについての考察】

 さて、ここから先は私の勝手な考察をお許し下さい。先日中村伊知哉さんがTwitterで「今のfacebookユーザーの多くはアーリーアダプターではなくて、mixi乗り遅れのレイトアダプターだろうと思います」とおっしゃっていました。私もある意味同感です。最近facebookからSNSを利用し始めた人は確かにそうかもしれません。

 調査時期(2011年9月)を踏まえ、facebook女子とmixi女子の比較をして思ったことは、mixiは極めてパーソナルなコミュニティを形成しているのに対し、当初のfacebookはビジネスまで含めたパブリックなコミュニティを形成しているのではないかということです。ビジネスを意識しているのであれば実名を公開することにもそれほど抵抗感はないかもしれません。この時期facebookを利用していた女性たちはこの「パブリック志向」が強く、早い時期からmixiからfacebookに乗り換えた(あるいは併用している)人たちと考えられないでしょうか。その意味ではアーリーアダプターだと考えられます。

 昨年暮れにLinkedInが日本に上陸しました。おおざっぱに言うとアメリカではパーソナルコミュニティはfacebook、ビジネスコミュニティはLinkedInというポジションになっています。日本ではパーソナルコミュニティがmixi、ビジネス(パブリック)コミュニティがfacebookというポジションだとすると、LinkedInの日本上陸によってこのポジションに大きな変化が生じてくることが予想されます。

 facebookにとって日本はNo.1ソーシャルメディアになれていない数少ない国のひとつです。今年の大攻勢は間違いないでしょう。さてそうなると、mixiはfacebookとの差異化をどう打ち出してくるのか?「実名」か「ハンドルネーム」かの違い程度ではない、もっと大きなポジショニングの変更が求められるかも知れません。この市場、伸びているだけに、目が離せなくなりそうです。

追記:2012年6月調査のデータで、ソーシャルメディア市場(facebook、mixi、Twitter等のユーザー層)のその後の変化をご紹介しています。こちらも合わせてご参照下さい。→「ソーシャルメディア市場を眺めてみた。-消費者データから見るブランドポジション-」

追記2:2012年6月の調査で、「facebook女子」と「mixi女子」を改めて比較して見ました。こちらもあわせてご覧下さい。


*データは全て2011年9月「ぺるそね」調べ。n=29,093
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
* 機能をフルに試せる「トライアル・パス」のサービスを開始しました。
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」の詳細はこちらへ。
 →サービスの詳細は「こちら
 →お知らせ情報は「こちら


Comment(15)