お客様を選ぶという行為
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「うちは客を選ぶから、気に入らなければ帰ってくれ(来なくていいよ)」こんな言葉を聞いたことはないだろうか。「頑固おやじの店」とでも表すればいいか。良く言えばこだわりのある店だが、最近は履き違えている店もあるように感じている。
多くの店(すべての業種業態にお客様と呼ばれる対象者は居るが、ココでは分かりやすく「店」に来るお客様を対象に書いていく)は、お客様に選ばれているのであって、選んでいるわけではない事実を忘れている。
お客様の選別は、来ていただいた後に店側が行なっているだけなのだ。それなのに「うちは客を選ぶから」などと言うのは筋違い。
では「お客様を選ぶ」というのは、どういう状況なのだろう。
「店員がお客様を選択した後に、店に案内する」この状況においては「客を選んでいる」と公言して構わないだろうと筆者は考える。
しかし、そんな店はあるだろうか?筆者の経験からすれば、店から来店を誘われたなんてことは、いわゆる「風俗店」のキャッチやスナックのママやお姉さんからもらう電話くらいなものだ。多くの飲食店や物販店は、店舗を構えて「お客様を待つ」という営業形態を取っている。
「店の定めたルールを守れない奴は帰れ」的な行為も「客を選ぶ」に入れるとするならば、来店直後にその「ルール」とやらを説明する必要があるだろう。現在社会に合わせれば、文面に承諾署名を求めてこそ「客を選ぶ」と言っていいかもしれない。
お客様からの来店を待っている店には、「客を選ぶ」という行為は許されないのだ。特に公に宣伝をしている店舗ほど、選んではいけない。宣伝の中には、ホームページやブログといったものも含まれると考えている。
宣伝力が増大することは、お客様の選択を狭めているということなのだ。
では、すべてのお客様を受け入れなければならないのかというと、それは別の話で、他のお客様に迷惑をかけている輩、無理難題を言って利益を圧迫しようとしている輩、これらを追い出すのは「客を選ぶ」とは別次元の話だ。それを混合してはイケない。
以前「お客様は神様!ですか?」というエントリーを書いたが、三波春夫氏の言う「お客様を神様だと思って接する(あくまでも店側の話だ。勘違いしている人が多いが)」という気持ちを忘れては、客商売は出来ない。やる資格も無いだろう。
色々なお客様への接客で、その気持ちを忘れてしまうことがあることを、筆者は誰よりも理解しているが。
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