【ブックトーク】メメント・モリ、死を想え。/『かないくん』
私にとって初めての身内の死は小学4年のころの父方の祖父でしたが、正直、あまり記憶にありません。ただ、父親が目を真っ赤にしていたのが強く印象に残っています。なんてことを思い出したのは、こちらを手に取ったから。
『かないくん』(谷川俊太郎&松本大洋/東京糸井重里事務所)
“Gunosy”で知った一冊となります。糸井重里さん・プロデュース、谷川俊太郎さん・文、松本大洋さん・絵と、なんとも豪華なコラボで、ある日突然に“友達がいなくなる”、そんな始まりの物語です。
“終わったのではなく、始まったんだと思った。”
日本人にとっての「死生観」に一つの答えを与えてくれているのかなと、感じました。
「死」とはなんなのだろうと、そして「死」と向き合うとはどういうことなのかと、久々に意識することになりました。世代を飛び越えて“伝えていく想い”、そんな見方もあるのかなと、なんとなく。
淡々とした言葉の積み重ねと、淡い色合いの絵のマッチングが何とも印象的で、そしてなにより、雪と桜の対比は、日本人の心奥にスルっと入ってくるのではないでしょうか。息子が手にとるかどうかはわかりませんが、しばらくリビングにおいておこうと思います。
谷川さんがやさしく紡ぎだしている言葉と、松本さんの静謐な絵が、なんとも静かに染み入ってくるな、そんな風に感じた絵本です。
【あわせて読んでみたい、かもな一冊。】
『絵本地獄』(白仁成昭&宮次男/風濤社)
『地獄絵の世界』(小栗栖健治/河出書房新社)
『聖書を語る』(佐藤優&中村うさぎ/文藝春秋)
『ロスト・シンボル』(ダン・ブラウン/角川文庫)
『祖父たちの零戦』(神立尚紀/講談社文庫)
【補足】
ちなみに、身内の死で明確に残っているのは、確か大学2年の頃の父方の祖母の死。これについては、葬儀場で父方の親せき同士が生々しい金の話でもめていて、末っ子であった父親と一緒に呆れていたのを覚えています。
ここ最近、何故か“メメント・モリ、死を想え”なんてことを意識することが、不思議と多いです。