【ブックトーク】乱読万歳、的な?/『「教養」を最強の武器にする読書術』
“教養”、最近では“地頭”なんて言葉でも表現されますが、具体的にはどういうことなのでしょう。それぞれあると思いますが、個人的には「価値観の多様性を認識すること」と考えています。
“教養があるからこそ、幅広くものを考え、
他人の要望も理解したうえで判断できる。”
教養はたくさんの価値に触れることで育まれる、それではその“多様な価値”に触れるための近道はというと、やはり“読書”かな、、と思いださせてくれたのがこちらとなります。
『「教養」を最強の武器にする読書術』(樋口裕一/大和書房)
“教養を身につける読書の基本として勧めたいのは、
ノンフィクションとフィクションの両方を読むこと”
「読書が知の座標軸を創る」というのが、ストンと落ちてきました。多種多様に存在する“本”、ひいては“情報”への触れ方を知り、推測し、そして許容することが大事ですよと、一貫しています。
まずは“ノンフィクション”から入りましょうというのですが、そのジャンル分けが興味深く。「環境」「日本文化」「政治」「ポストモダン」「歴史」「哲学」「人権」「宗教」「心理」「日本語」「自然科学」「自己啓発」と、12分野に分けた上で、それぞれの“はじまりの一冊”を紹介されています。
で、これらで“基礎的な知識”をある程度もったうえで“フィクション”、、“文学”に突入してはどうかと。一つ面白かったのは、「読みたいと思ったものを、好きなように読むのが文学の醍醐味」で、「教訓的に読むものではない」とされている点でしょうか。
心の赴くままに書き手の想いをすくい上げ、浸っていく。この基盤になるのは、ノンフィクションから得られる知識であり、そうすることで「知識が教養として昇華されていく」と。この辺り佐藤さんが話されていた内容とも重なり、フムフムと。
“教養を身につけたいなら、自分が好きな作品を読むのが一番”
好きこそなれの、というわけでもないでしょうが、自分が読みたいと思ったものを読む方が、結果として強く印象に残るのは確かだと思います。
そして個人的に興味深かったのは、日本と西欧の“物語”へのスタンスの比較でしょうか。
“西洋の作家にとって物語を書くということは、
世界の再創造に等しい”
“(日本の作家は)自分自身の世界へ、
また、現実世界へ引きずり込むことに神経をくだいている”
西洋はトールキンやムアコックなどが、日本であれば漱石や太宰などが、思いつきました。お気に入りの作家さんたちの“世界”に浸る時間は至福だよなぁ、なんて風に感じさせてくれた一冊です。
【あわせて読んでみたい、かもな一冊。】
『つながる図書館』(猪谷千香/ちくま新書)
『子どもの教養の育て方』(佐藤優&井戸まさえ/東洋経済新報社)
『頭のよい子が育つ本棚』(四十万靖/学習研究社)
『寝ても覚めても本の虫』(児玉清/新潮文庫)
『読書教育』(辻由美/みすず書房)
【補足】
ちなみにこちらとはリアル書店をブラウジング中に出会いました。こういった出会いがあるからこそ、書店巡りは止められません、、順調に読みたい本が増えていきます(汗
また先日、主催の一人としてお手伝いしている「朝活読書サロン Collective Intelligencehonn(裏エビカツ)」でも紹介しました。特にテーマは無い集いですので、本好きの皆さんに響きそうな、と言った視点から。やはり“本”にまつわるコトガラに関わっていきたいなぁ、、ともあらためて。
ご興味を持たれましたら、是非こちらから覗いてみてください~
>>> 朝活読書サロン Collective Intelligence(裏エビカツ)の本棚(ブクログ)