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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

特定秘密保護法案の成立を歓迎します。

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6日夜、特定秘密保護法案が「反対」の怒号の中で参議院を通過し、成立しました。

この種の法律は、安全保障に責任を持つ人々の間ではもう半世紀にもわたって必要とされ、成立が待たれてきたものでした。
100点満点の法案であるという気はありませんが、問題があるにしてもそれはこれから直していけば良いのであって、「ない」よりははるかにましです。

というわけで私は特定秘密保護法案の成立を歓迎します。

参考までに、現在、特定秘密保護法案に対して熱烈反対している人々が、3年前の尖閣諸島での中国漁船による海上保安庁巡視船への体当たりビデオの流出事件の時になんと言っていたかを振り返ってみましょう。

【超性能ブーメラン】『特定秘密保護法案』に反対している議員の方々、実は『尖閣衝突ビデオ流出事件』の時は保護法案推進派でしたw : はちま起稿
http://blog.esuteru.com/archives/7438624.html

まあ・・・・つくづく、ご都合主義もいいところですね。

昨日まで「特定秘密保護法案ハンターイ!!」と盛んに大声を上げていた人々も、だいたいが、数日のうちにあっという間に関心をなくすでしょう。そのほとんどは、「今、文句が言える」「目の前の案件」にしか興味をもたない人々ですから。

そうして「反対、反対、反対」だけで政治的プロレスを演出してきた、55年体制以来の野党の長い歴史がまた1ページ増えただけのこと。

ただし、この法案は後世においては、単なる政治的プロレスではなく、日本における「第二次大戦後の安全保障体制」の終わりを告げるエポックメイキングなものと評価されることになるでしょう。

エポックメイキングといっても、この一本だけがその象徴というわけではなく、2001年以後10数年にわたっての長い動きの中の一つです。そしてその一連の動きの原動力は国際的なパワー・バランスの変化であって、国内事情によるものではありません。

だから要するにどういうことかというと、今後も日本が国際的な安全保障体制への関与を強める動きは続く、ということです。

途中、政権交代にともなう揺り戻しのような小刻みなブレはあるにしても、大きなトレンドとしてはその流れは変わりません。

なんにせよ、日本にとっては難しい時代に入ったということであり、そろそろ安全保障についても大人の議論ができるようにならなければいけないということです。

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