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世の中にはまだ知られていないスポーツがたくさんあります。日本では知られていないけど海外では有名だったり、いまこの瞬間に生まれているスポーツや、障害者の方が楽しめるスポーツなどなど。このブログでひとつでも新しいスポーツを知っていただき、ぜひ楽しんでもらえればと思います。

スポーツと共に進む~すべては「For the real game」のために 株式会社モルテン~

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 スポーツとともに進む。今回は皆さん一度は目にしたことのあるであろう「molten」のロゴ。そう良く学校のボールなどに刻印されていたあのロゴです。そのボールを作っているメーカーである株式会社モルテン スポーツ事業本部の倉橋さんにお話をうかがいました。モルテンが掲げる「For the real game」とは。

-いきなりですがモルテンって面白い名前ですよね。どういう意味があるのでしょうか。

 設立時にはモルテンゴム工業株式会社と言う社名でした。その後1983年に社名を現在の株式会社モルテンに変更しています。モルテンとは英語のmeltの過去分詞形moltenから名づけています。溶ける、そしてさらに違った形に進化させる。脱皮しながら前に進む、そういう会社でありたいと言う想いから名前がつけられました。

-なるほどそんな由来があるのですね。失礼ですがてっきり海外の会社かと思っていました。

 よく「モルテンって日本の会社だったんですか」と驚かれます。イタリアの会社だと勘違いする人もいらっしゃいますね。良いように捕らえるとかっこいい名前だと思われています(笑)しかし、広島発の純然たる日本の会社です。

 広島はもともとゴム産業が盛んなところで、そこから発展して現在のスポーツ用品事業、自動車部品事業、介護用マットレスなどの医療・福祉用品事業、浮き桟橋などの親水用品事業・産業資材事業を展開しています。

 高分子化学、中空体技術(空気を保持する技術)を利用して様々な製品を製造しています。カタログには1500アイテム掲載されていますが、そのうち1,000アイテムがボール以外の製品です。

-そういえばモルテン(molten)のロゴを小学校か中学校で見た記憶があります。

 小学生のころモルテンさんのボールを使っていましたよ、と言う方も非常に多いです。記憶のどこかにはあるけど決して表舞台に立つものではないので。でもボールを見ると思い出していただける。これは非常に嬉しいことですね。バレーボールやバスケットボールなどの部活をやっていた方は覚えていただけている可能性も高いですね。

 今まではスポーツにかかわっている方がモルテンの名前を覚えていることが多かったのですが、最近だと医療・福祉関係の方にも覚えてもらっています。採用の会社説明会などで初めてボールを作っている会社だと知る人もいるんです。スポーツ事業本部の私としては少し残念ですが、モルテンの社員としてはうれしい限りです。(笑)

-モルテンのボールは学校などでも利用されていますが、国際大会の公式球にも採用されています。身近なボールから重要な大会のボールまでなぜモルテンのボールは採用されているのでしょうか。

 P2124401.jpgモルテンのロゴの下に「For the real game」と書かれているのですが、これはそのままの意味で「本物のゲームのために」ということです。トップレベルのスポーツ選手の方のためと捉えることもできますが、学校で行われるスポーツやゲームなどそれぞれのスキル、想いを実現することが必要です。例えば学校で部活動をされているお子様もいますが、スポーツを楽しむのは学校の体育の時間だけと言うお子様もいます。スポーツをするときは楽しくなければならないと考えています。

 最近多いのが柔らかいボールが良いと言う要望です。使いやすさと言う面もありますが、安全面でそういったボールを望まれる先生もいらっしゃいます。お子様にも硬いボールを苦手とされる方もいます。我々としてもそういった要望に応える商品を出して、ボールに対する抵抗感、恐怖感がなくなるようにしてあげたい。

 上のレベルの選手だけでなく、より広くスポーツを楽しんでいただきたい。幼稚園から中学生、高校生、そこからオリンピックやワールドカップに出る選手までをお客様と考えて事業を行っています。

-硬いボールは最近敬遠されているのでしょうか?

 以前はそこまではなかったのですが、少しトレンドのようになっています。部活をしている方はそこまでではないのですが、普段ボールを触らない人は抵抗感がある人もいます。厳密に言えばボールが柔らかいと反発性が低くなったりして、ゲームが変わってしまいますが、そもそもボールが痛くて抵抗がある人だとそこから先に進むことができません。なのでボールに苦手意識がある方にも気軽に使っていただけるように柔らかいボールも製造しています。

-国際大会などではどのようなボールが使用されているのでしょうか?

 バレーボールだと北中米カリブの国際大会、バスケットボールだと国際バスケットボール連盟(FIBA)の主催する大会の試合球に使われています。ヨーロッパ選手権やアジア選手権、世界選手権、そして1984年のロサンゼルス大会以降のオリンピックなどです。ハンドボールだと日本リーグやアジアハンドボール連盟の公式試合球にもなっていますね。国際大会ではないですがドッジボールの公式球も製造しています。

-ドッジボールに公式球なんてあるんですか!?

ld3r_480480_ph001.jpg はい、ドッジボール協会もあります。もしかしたら、みなさんとモルテンとの最初の接点はドッジボールかもしれません。教室の後ろのほうにランドセルを入れる棚があってそこに入っているのを記憶している方も多いかもしれませんね。このドッジボールも年々柔らかくなってきています。衝撃を瞬間的に受けるボールと、衝撃をゆっくりと受けるボールがあります。昔はこの瞬間的に衝撃を受けるボールしかありませんでした。それでできたのが「顔面セーフ」です。

(※顔面セーフとは・・・正式なものではありませんが、ボールが顔面や頭に当った場合はアウトにならないルール、です)

-他にも珍しいスポーツのボールを作っていますか?

 アメフトから派生したフラッグフットボールやキックベースボール、水球、そしてポートボールなどのボールを作っています。また、中に鈴が入っていて音が出るボールもあります。ご利用になられる方が独自のルールを考えて体を動かすスポーツを考案されています。我々が考えるよりも様々な使い方、楽しいスポーツを教えてもらっています。

-話は変わりますが、スポーツエキップメント製品とはどのようなものでしょうか

 モルテンはボールを主力の商材として、主に学校の市場を開拓してきました。部活動を行っているとボール以外にも様々な用具を使っています。そのような中で学校の先生からスポーツ用具についてご要望をいただくことがありました。そこで我々にも何か作れる用具はないかと開発をしたのがスコアボードやラインカーなどのスポーツエキップメント用品です。

-先生方の要望からスポーツエキップメント用品は作られたわけですね。

 地元の広島ですと、モルテンがボール以外にも自動車用品など様々な製品を作っていることが知られています。またモルテンのボールは非常に長持ちすると先生方にも評判が良く、もしかしたら他のスポーツ用具もより良いものが作れるのではないかとご要望をいただくことがあります。そう言った中からスポーツエキップメント用品は発展してきました。例えばスコアボード。昔よく見かけていたのが日めくりのようなスコアボードだと思います。

 バレーボールなどではこれでも対応できたのですが、バスケットボールなどの制限時間を計りながら行うスポーツだと時間もストップウォッチで計るなど非常に不便でした。地区大会などが開催される体育館ですと電光掲示板のスコアボードが用意されているところもありますが、多くの学校では日めくりのスコアボードが主流です。

 しかし、モルテンのスコアボードは時間計測もでき、どこからでも確認しやすく、操作も入力ミスが起きにくいように設計されているため非常に好評で、中学や高校の部活のみならず、体育の授業など幅広く採用いただいています。

 また、このスコアボードは時間計測ができるため日常のトレーニングにも活用できます。我々は想定していなかったのですが、時間を区切った練習など皆で時間を確認できるため選手の意識、時間管理にも役立っていると先生方に評価をしていただいています。

-なるほど先生方からの評判が非常に高いわけですね。

 モルテンはテレビCMを出すような商材を扱っているわけではありません。逆にしっかりとした人間関係でモルテンの商品は広まってきました。急速に広まることを狙っているわけではありませんし、しっかりと信頼していただくことを大切にしています。

 同じく好評なのがラインカーですね。あの赤い鉄板でできた車輪のついた箱に石灰をいれて校庭にラインを引く用具です。体育倉庫に行くと何個か使えなくなったラインカーが転がっているのを見たことがあるのではないでしょうか(笑)

 

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 なぜ使えなくなるのかと言うと車輪の車軸が曲がる、粉が詰まってしまうなどの理由でした。なぜ車軸が曲がるかと言うと、石灰が詰まったときによく蹴ったり叩いたりして詰まりを直そうとしますよね。そうすることで徐々に車軸が曲がってしまうのです。だからモルテンでは粉の詰まりにくいラインカーを開発しました。

 

 

これは先ほどもお話した自動車部品事業などと協力をして、中のブラシを改良するなどして驚くほど粉が詰まりにくいラインカーを開発することができました。

 実はこのラインカーも我々が目指す「For the real game」なのです。例えば野球でライト線への当たりが出たとします。その時ラインが曲がっていてはフェアなのかファールなのか正確に判断できません。線を引く人はまっすぐ引こうとするのですが、車軸が曲がったラインカーでは真っすぐな線を引くことができない。体育の授業であってもプロ野球の試合でもちゃんとしたラインを引いたコートで行うこと、それが「For the real game」です。

 「For the real game」と消費者の困っていることを照らし合わせて解決策につながる用具を提供することが我々のテーマです。スポーツをする環境は年々変わってきます。モルテンは「For the real game」にいかにして近づけて行くか、そのために改良を加えていきます。

-確かにライン一本でも大きく試合は左右されることがありますからね。「For the real game」、非常に大切な理念です。最後になりますが倉橋さんの今後の夢や想いをお聞かせください。

 

 日本のスポーツは学生までで、社会人になるとスポーツに触れ合う機会が大きく減ってきてしまいます。モルテンはボールを使ったチームプレーを主とするスポーツに関わっています。

 なのでもっとチームで戦う、チームで助け合うといったところにフォーカスしていきたい。日本の企業が世界の中で戦ってこれたのは、欧米の個人主義に対してチームワークで対抗してきたからだと思っています。そのチームワークをより高めて行くことができるのがスポーツだと考えています。相手の気持ちを考え、目標に一緒に向かっていく。そう言ったことを感じる一番分かりやすいのがスポーツです。

 だから社会人の方にもっとスポーツを楽しんでもらいたい。一方子どもたちも、ゲームや習い事などでスポーツをする機会が減ってきているので、こちらもスポーツをもっとやってもらいたいですね。

 多くの企業でチームビルディングの研修を行っているとは思いますが、その中にボールを使ったスポーツも取り入れてもらえたらと思います。あとは海外でも、もっと積極的に活動していきたいですね。日本でこれだけ多くの方にご愛用いただいている製品を海外の方にももっと使ってもらいたいです。

-倉橋さんありがとうございました!

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