オリンピックレガシーはパラリンピックを中心に考えると効果が高い遺産が残せるはず
2020年の東京オリンピックに向けて、今は新国立競技場の建て替え問題が大きな話題になっていますね。デザイン決める時も、そして取り壊す時も話題になっていましたが。
新国立競技場、見えぬ着地点 都は不信感「負担ありき」
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画が揺れている。建設費の負担をめぐる文部科学相と都知事の対立は国際オリンピック委員会(IOC)の幹部が懸念を示す事態にまで発展した。解決の糸口はあるのか。
朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASH694R9BH69UTIL01W.html
今回はどうも工期や予算の問題でデザイン決定時から色々と疑問視されていた屋根が東京オリンピックに間に合わない、そして資材価格の高騰により予算もオーバーするんで、東京都にも費用負担をして欲しいってところみたいです。
個人的にはデザインには目をつぶって、予算と工期を優先させて建設すればいいのではないのかと思っています。デザインは人それぞれ受け止め方は違うでしょうけど、予算がオーバーすることに関しては大半の人が反対するでしょうし。
あの屋根があるデザインでないと建設後にイベント収入によって建設費が回収できないなんて話もあるみたいですが、どうなんでしょうか。
よく新国立競技場はオリンピックレガシー、つまりオリンピックが開催されることによって残る遺産の象徴とも言われていますが、オリンピックレガシーは、パラリンピックを中心に考えることでよりよい遺産になると個人的に考えています。
舛添都知事が先日の所信表明でこんなことをおっしゃっています。
東京をより進化した成熟都市へと高めるのが、パラリンピック大会の開催であります。先週末のIPC理事会では、フィリップ・クレイヴァン会長から、東京大会への大きな期待が述べられました。パラリンピック開催都市には、障害の有無にかかわらず同じように生活ができる、バリアフリーの環境を整えることが求められております。他者への理解や配慮が広がり、ノーマライゼーションが実現した都市になってはじめて、東京は世界一を標榜できると思います。
平成27年第二回都議会定例会知事所信表明
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/HATSUGEN/SHOUSAI/30p69100.htm
オリンピックレガシーで一番残すべきなのはこの「バリアフリー環境」ではないでしょうか。投資効果ももっとも高いと思います。現在ではバリアフリーという意識が一般的になりつつあり、新しく建設される建物は障害者に対して様々な配慮がされています。
しかし旧来からある施設や道路などのインフラ部分に関してはまだまだバリアフリー環境が整っているとは言えません。
建設のコストを考えると数の多い健常者に最適化された設計になりがちです。しかし、オリンピックではある程度のコストがかかることは織り込み済みのはず。
その予算をしっかりとバリアフリー設計に使っていただき、インフラなどの更新を行えば、障害者の方だけでなく、これからより一層進む高齢化社会にも対応でき、ひいてはベビーカーをおしながら移動をしなければいけない子育て世代にも今よりは負担の少ない社会になるかもしれません。
新国立競技場は確かにオリンピックのメイン会場として重要なのかもしれませんが、50数年ぶりの大きなイベントであるオリンピック・パラリンピックをうまく活用して向こう50年くらいの都市デザインにうまく活用してもらいたいと思います。