オルタナティブ・ブログ > That's the Way to GO! >

いつの時代も「今がまさに変革期」。自分の判断を信じ、道なき道を探検中

AppleによるUDID規制の動きと、これからのリワード広告における計測方法についての所感

»

いよいよAppleのUDIDの規制が始まりました。

UDIDにアクセスするアプリのリジェクト(申請却下)が米国で行われ始めており、近い将来、UDIDを取得するアプリ全てが対象になるとのことです。

今週に入ってAppleのアプリ審査10チームのうち2チームがUDIDにアクセスするアプリをすべて拒絶し始めた。来週は4チームがUDIDアプリの登録を拒絶するようになり、最終的には10チームすべてが拒絶するようになるという。 via ご注意!プライバシーへの懸念の高まりを受けてAppleはデバイスIDにアクセスするアプリを拒絶し始めた | TechCrunch Japan

 

事の発端は、6ヶ月くらい前に

Appleから推奨しないといったかたちで警告がありました。その流れだとは思うのですが、個人的には「思った以上にとても早い対応」だと思います。ちょうど1ヶ月くらい前に、以前シリコンバレーで知り合った友人(プランナー的な人)と話す機会があったのですが、そのとき彼は「UDIDはどのゲームアプリメーカもリワード会社も使っていて、Appleから警告があったとしても使えなくなるなんて考えてもいないよ。それに使えなくなってゲームが出せなくなって収益が減って困るのはAppleだ。だから少なくとも1年くらいはUDIDを使い続けられるよ」と鼻歌まじりで言っていたのですが、そんな彼の予想は完全に外れたようです。

そのときついで「じゃ、仮に使えなくなったらどうする?」と聞いたところ、「FacebookIDを使うかな」と言っていたのです(本気か冗談かどうかは定かではありません)がこれもまた外れてしまうのでしょうか。メディアユーザIDをユーザユニークIDとして使用するといったことはありだと思うのですが、一部不正業者による複数アカウント取得などがありえるため、様々な不正リスクを解決しなければおいそれとは使えないのでは思ってます。

 

こんな早いAppleの対応も、

先月上旬くらいにSNSサービスでユーザーに無断で連絡先データを収集していた問題が発覚したのですがすぐさま連絡先データ無断使用を禁止へと進みましたし、今回規制を急いだ背景として同様の対応を行った可能性が高いではないでしょうか。

ソーシャルサービスPathがユーザーに無断で連絡先データを収集 |  ITmedia ニュース
アップル、iOSアプリの連絡先データ無断使用を禁止へ--修正リリースで対応 |  CNET Japan

 

その背景というのが直接的には関係ないかもで、

勝手な想像ですが、米下院委員会の個人情報収集についての回答要求です。

米下院、個人情報収集について iOS ソーシャルアプリ 34社に回答を要求。Facebook / Twitter / アップル ほか |  Engadget Japanese

注目する箇所として、以前問題になった連絡先の無断取得だけではなくUDID や MACアドレスを含むすべての端末識別可能情報について送信・保存の有無、送信・保存に際してのセキュリティ確保手段、ユーザーに「端末の画面上で」どのように説明したかなどかなり細かいものらしく、かなり米国でもプライバシーポリシーについての温度感も高まっているのではないでしょうか。

 

日本でも過去からプライバシーポリシーの問題と、

今回のような個体識別番号については、何度も議論され続けているのですが、ついにプラットホームのほうから動いたといった感じなのでしょうか。ちょうど1ヶ月くらい前に書いたエントリーがあるのですが、この動向に関係してまた注目を集め始めてます。

iOSにおけるリワード広告でのUDIDを使わない計測方法の提案 |  That's the Way to GO!:ITmedia オルタナティブ・ブログ

このエントリー後、同業者様や広告主様・メディア様、セキュリティ関係者様など多くのかたに読んでいただき、様々な反響をいただいたのですが、「技術的にもできるしそういったやり方もあるよね。」といった感じでした。

 

状況は理解はしているけど、

それを解決するためには多くのことを解決しなければならず、当然その負荷も大きいです。前回も問題点として提起したのですが、リワード業界において、いくらUDIDを使わない計測方法を確立させているとしても、プロモーションを行う広告主様側・広告を掲載するメディア様側・そしてリワード広告を利用するユーザ様と、すべてのステークホルダーに影響が及ぶため一斉に呼びかけを行い、対応を行う必要があります。が、プラットホームとなるAppleが規制を始めたということは『そうならざるを得ない状況』になりました。

 

UDIDがダメならなんちゃらといった判断もあるでしょう。

この世の中の動きをどう捉えていくのかは、十人十色で正解もどれかはわかりませんが、騙し騙しではなく、今ある技術的に可能であることであれば対応を行い、実現できない・足りない事はそれまでの間、妥協策を講じ、事足りるように働きかけていけばいいと思うのです(たぶんとてつもなく大変で困難ですが)。まだまだ法規制もこれからと、いつの時代も「今がまさに変革期」です。その自分らの判断を信じ、道なき道を探索していくものなんだと思います。

 

【その他関連リンク】
Amid Privacy Concerns, Apple Has Started Rejecting Apps That Access UDIDs | TechCrunch
Apple Begins Rejecting Apps that Access UDIDs | PandoDaily
Oh no UDIDn’t! Apple is rejecting iOS apps that access UDID | VentureBeat

 

Comment(0)