オルタナティブ・ブログ > That's the Way to GO! >

いつの時代も「今がまさに変革期」。自分の判断を信じ、道なき道を探検中

海外リワード会社におけるIDFAの利用状況と、そもそもIDFAってなんだろう?

»

 

前回、FingerPrint(Device Fingerprinting)について書きましたが、

「FingerPrintについてはよくわかったんだけど、補足で書いてあったIDFAって?」という質問が多かったので書いてみます。いつものように超ざっくりまとめ、結論から申し上げますと「IDFA=Identification For Advertisers。Appleが発行する広告用のID」で、海外ではAppleにおける規制のタイミングと各リワード会社の計測ロジックの変更が困難だったので、IDFAをユニークIDとして使っているのではと考えています。海外リワード案件を配信するにあたって、このへん気をつけましょうね。といった話しです。

今回も長いですが、読んでみてください。

 

さて、このIDFAをAppleが提供した背景として

前回書いたように端末(UDID)が問題視されたことが発端でした。米国における団体などが「UDIDとかの端末IDについてのリスクありますぜ」と何度も警告していたのですが、Appleによるプラットフォームの規制は強烈で、この発表があったのが2013年3月下旬。リジェクトの対象は2013年5月1日からでした。(*1)

以下がそういったトピックスとiOSのバージョンアップについての簡単な年表です。

20131031_a2

このIDFAですが、そんな端末IDが騒がれる渦中に、iOS6.0のアップデートと一緒に登場。当時は「端末IDに変わるID」といったようにざわざわしてました。が、世間に出回っているiPhoneが全てアップデートするかというとそうではないので、いったんは様子見といった感じでした。

 

まず、iPhoneの設定に書いてあるIDFAの説明を読んでみましょう。

ユーザ向けの説明文になるので「IDFA」(Identification For Advertisers)は「Advertising Identifier(広告識別子)」といった表現になってます。(以下は iOS 7.0.3での説明ですが、一部当時と大きく変わってます。そのへんは追って説明します。)

設定>プライバシー>広告>詳しい情報 より引用

iOS 7では、一時的なデバイス識別子、Advertising Identifier(広告識別子)を使用できます。これによって、追跡型広告を表示する機能をAppから細かく制御できます。追跡型広告を制限するように選択すると、Advertising Identifier(広告識別子)を使用してユーザにターゲット広告を表示することがAppに許可されなくなります。デバイスのAdvertising Identifier(広告識別子)はいつでもリセットできます。加えてiAdでは、どのデバイスを使用しているかにかかわりなく、あなたのApple IDがユーザの興味や関心に合わせた広告の追跡対象から除外されます。

注意事項:“追跡型広告を制限”を“オン”にしても表示される広告の数が変わらない場合がありますが、その内容はあなたの興味や関心に基づかないものになる可能性があります。

「追跡型広告」なのか「ターゲティング広告」なのか、英文を訳すときにいろいろあったことが考えられるのですが、要は「“追跡型広告を制限”を“オン”にしておけば、ターゲティング広告においてIDFAを使わないよ!」といった感じでしょうか。

ちなみに、この「“追跡型広告を制限”を“オン”」。iOS 7.0.3では以下の様に設定します。

20131031_a1

そして「“追跡型広告を制限”を“オン”」にする設定ですが、ユーザ向けの説明とアプリのデベロッパーのやれることにちょっと違いがあります。以下がiOS Developer Libraryより。

2. Check whether advertising tracking is limited using the advertisingTrackingEnabled property.
If the user has limited ad tracking, use the advertising identifier only for the following purposes: frequency capping, conversion events, estimating the number of unique users, security and fraud detection, and debugging.

「“追跡型広告を制限”が“オン”になっていても、頻度上限(フリークエンシーキャップ)、コンバージョン計測、ユニークユーザーの計測、セキュリティや詐欺行為の発見、デバッグの用途には使用してもいい」と書いてあります。

 

要は、

アプリのデバロッパーはこのユーザの設定有無に関係なく、IDFAは取得することができ、上記用途に応じて使ってもいいということ。それ以外というのは、ターゲティング広告とかでしょうかね。

しかし、iPhoneでの説明文の後半にある付け足した感が満載の一文がリワード広告のユニークIDとして決定的に使えないと判断したポイントになります。

「デバイスのAdvertising Identifier(広告識別子)はいつでもリセットできます。加えてiAdでは、どのデバイスを使用しているかにかかわりなく、あなたのApple IDがユーザの興味や関心に合わせた広告の追跡対象から除外されます。」

 

そう。すでに設定画面でも見えてましたが、このIDFA。

リセットできてしまうのです。

iOS Developer Libraryにあるとおり、“追跡型広告を制限”の設定有無に関係なく「コンバージョン計測」として使用できるため、UDIDに変わるIDとしての期待はありましたが、iOS 6.1にて、このIDFAがリセットできる機能をひっさげてアップデート。これはオプトアウト(ユーザによる広告の拒否権)に対応すべく追加されたものと考えられます。これによってリワード広告におけるユニークIDとしては利用できないといった判断をしました。(*2)

 

以上を含めてIDFAについてのまとめです。

  • IDFAはiOS 6.0以上の端末から取得できる。それ以前では取得できない
  • ユーザが“追跡型広告を制限”しようがIDFAは取得できる
  • iOS 6.1からIDFAのリセットが可能になった
  • ブラウザからはIDFAは取得できない。ネイティブアプリから取得できる
  • Aアプリから取得したIDFAと異なるデベロッパーのBアプリから取得するIDFAは一緒
  • 一度アプリから取得しアンインストールして再度取得した場合でもIDFAの値は変わらない
  • リセットするとIDFAは変わる。以前取得したIDFAは取得できない
  • 端末を初期化するとIDFAは変わる

 

では、タイトルに書いたように、

IDFAが登場して1年ちょっと経つ現在、海外(特に北米)にてこのIDFAがユニークIDとして使われています。なぜに海外のリワード会社はこのIDFAをユニークIDとして使い始めているのか。完全な想像でしかないのですが、これはユニークIDにおける使用の経緯にあるのではと考えています。

以下が日本国内と北米のほうの経緯です。自社をとても宣伝のように描いてますが、気にしないでください。

20131031_a3

 

日本国内の場合、

Appleの規制までの間に総務省やMCF、JIAAといった業界団体がこのへんの情報保持について議論されはじめ、専門家、一般ユーザともに熱い視線が注がれていました。「端末IDを使う会社これだ!」のようにNEVERまとめにもあがるくらいで、我々のようなリワード業界では「端末IDを使わない」といった動きになっていきました。

 

しかし海外の場合、

業界団体や専門家、一般ユーザは騒いでいたとはいえ、一向にユニークIDを変える気配はなかったように思えます。しかしプラットフォームの規制により、UDIDからMACアドレスと一気に端末IDが使用できなくなり、取得できるIDFAにとって変わったんだと思います。

参考にしたのはこのサイトです。ちょうど1年前の情報になりこれを参考にしてみました(*3)。

Supported Unique Identifiers for Ad Network and Publisher Integrations | hasoffers
http://support.mobileapptracking.com/entries/22541431-supported-unique-identifiers-for-ad-network-and-publisher-integrations

 

さらに海外の場合、

広告を掲載するメディアがアプリの場合がほとんどで、メディアで取得した端末IDと、広告アプリで取得した端末IDとを突き合わせるシンプルな計測が一般的でした(前回の記事での紹介した「端末IDを使った計測」を参照)。

 

このへんの計測ロジックを変えたくないという考えもあり、UDID→MACアドレス(とか3rdPartyID)→IDFAといったようになっていったものと考えられます。当然、IDFAはリセットできるので重複カットなど行えないといったリスクを承知の上で、仕方なくIDFAに落ち着いたのでは?というのが今回の結論になります。

そのため海外案件を日本国内に配信するにあたって、メディアユーザIDでの重複チェックであったり、上限予算の設定など不正対策でやるようなことを応用したりが必要になるかと思います。ちょっと情報が古いかもですが、以下が不正対策に関する記事になります。

リワード(アフィリエイト)広告における『不正対策』への考え方
http://blogs.itmedia.co.jp/jinmsk/2013/03/post-d7ec.html

 

今後、

海外から日本国内、日本から海外への連携がより一層でてくると思いますので引き続きウォッチしていきたいと思います。

 

*1 その5月以降、UDIDを取得していると申請すらできなくなったので、AppStoreに公開されていて2013年5月1日以降にアップデートがあったアプリについてはUDIDを取得してませんが、それ以前のアプリに対してどのような規制があったのかはわからないです。恐らくですがUDIDを取得しつつ、残っているのでは?と思ってます。

*2 リワード広告で使われるユニークIDはターゲティング目的の広告とは異なり、コンバージョンの認証のために使うため用途がそもそも異なります。

*3 ここで書かれている「Click ID」とはASP間でのやり取りの話でユニークIDとして利用しているものではいです。逆に「Device ID」「Mac Address」「IDFA」については端末間で行われる照合方式になるため、掲載するメディアがアプリのみということになっているんだとこの表からは読み取れます。あと、こんだけまとまっているのにソーシャルに拡散されていないのが個人的に気になります。

Comment(0)