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Internet Week 2007 に参加してきました

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Internet Week 2007 が閉幕しました。今年は、横浜のパシフィコから場所を変え、全体のコンセプトも変更して東京の秋葉原で行われました。今回もいくつかのプログラムに参加してきましたが、そこでのポイントをいくつかご紹介します。

まず、初日の「DNS Day」。JPRSの松浦氏からJP DNSに対する取り組みが報告され、その安定運用が順調であるようです。これは、日本にとってはいいニュースでしょう。また、この中で行われたパネルディスカッションでは、DNSの利用範囲の広がりとともにDNS運用管理者の負担が増えているという問題と、「叱られることはあっても、誉められることのない仕事」というように、そのモチベーションの維持が大変になっているという現実も知ることができました。「誉めて育てる」ではないですが、そういうことをもっと真剣に考えてもいいのではないでしょうか。いまの日本、全体として技術者が大切にされていないような気がします。

DNSの最新動向を報告、トラフィック増加などで運用者の負担増大も
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/11/20/17583.html

次に、二日目に行われた「IPv4アドレス在庫枯渇問題を見通す」。この問題は別途書こうと考えていますが、インターネットにとってけっこう深刻な問題だと思います。概要を簡単に書いてしまうと、現在のインターネットで使われているIPv4アドレスの“在庫が無くなり”、結果としてIPv4アドレス新規割当要求に対応できない(配布できなくなる)という“事実”に端を発した、在庫が枯渇したあとにどうすればいいかということを決めていかなければいけない問題です。で、誰に影響するか。いろいろな可能性がありますが、一番最初に大きな影響を受けるのは、新しくサービスを始めようと考えているサービス事業者でしょう。そのあとに、IPv6への対応がやってくるはずです。

“IPv4アドレス在庫枯渇問題”を考えるワークショップ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/11/21/17592.html

Internet Week 2007レポート
IPアドレス枯渇問題、「ろくな対策はないが、IPv6はまだまし」
http://www.atmarkit.co.jp/news/200711/20/iweek.html

そして、四日目に行われた「IP Meeting/Internet Forum 2007」。この中で気になったのが、NTTコミュニケーションズの吉田氏から報告された日本国内のトラフィック状況。インターネットのトラフィックが年々伸びてきているのは周知の事実だと思うのですが、その伸びがここ数年、平均で1.4倍だそうです。このままでいくと、来年のどこかで1T(テラ)を超えるかもしれません。「これだけのトラフィックに対応するためには、バックボーンをどのようにしていかないといけないのか?」といったことを考えると、簡単な話ではないような気がします(本当に、そんな帯域をちゃんと運用していくことはできるのか?)。増えている原因の大きなものは、P2Pや動画配信。一時期話題となった「インターネットただ乗り論」ではないですが、増え続けるコストを誰が負担するのか、真剣に考えないといけないような気がします。

国内のトラフィック、動画配信が加速、P2Pも依然増加傾向
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/11/22/17616.html

そうそう。吉田氏の講演の中で、2オクテットAS番号の枯渇問題も述べられていました。AS番号とはインターネット上において自律したネットワークに振られる固有の番号で、経路制御の単位となるものです。この枯渇は以前から関係者の間で話題になっていましたが、意外と早くやってきそうだということになります。その後は4オクテットAS番号に移行するようなので心配は無いと思うのですが、一部、古い装置で4オクテットAS番号がまともにハンドリングできないものがあるとか、番号にピリオドが含まれるので、正規表現を使う際に注意が必要といった話があります。

このあたり、おいおいと書いていきたいと思います。お時間があれば、お付き合いください。よろしくお願いいたします。

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