That's Entertainment!(3)~ベイエリアの休日
意外と忙しい米国人
米国で生活していると、意外と祝日が少ないことに気付きます。日本でいう大型連休や盆/暮れの休みもありませんので、普通に生活していると土日以外は毎週仕事の繰り返し……という状態になってしまいます。長期バケーションなどの印象があるので「欧米人は休んでばかり、日本のほうが休みが少ない」と考える人もいるかと思いますが、こと米国に関していえば、その認識は間違いです。
知り合いの金融関係者は早朝7時から夜10時ごろまでオフィスで仕事をしていますし、早く家に帰っても在宅作業を進めていたりするので、ほとんど仕事漬けです。土日も仕事をしていることがあり、本当に休めるのは仕事の谷間のバケーションくらいだったりします。バケーションがとれるのはまだマシなほうで、パートタイム的に働いている多くの米国人は有給などありませんから、複数の仕事を掛け持ちでこなして、時間を惜しんで働いています。
さて、こうした忙しい米国人でも落ち着ける瞬間が年に2回ほどあります。1つがホリデーシーズンと呼ばれる年末の感謝祭前後で、もう1つが独立記念日前後の夏休みです。このときばかりは、小売店など一部を除く会社の多くが休みとなり、米国人がいっせいに休日に入ることになります。感謝祭は11月の第4木曜日、独立記念日は7月4日と固定の祝日なので連休にならないケースもありますが、多くの人はここぞとばかりに前後で休みをとってしまい、ムリヤリ連休にしてしまうようです。街にとどまって友人と過ごすなり、行楽地に繰り出すなり、海外に脱出するなり、家でゴロゴロするなり、過ごし方は人それぞれです。傾向としては、感謝祭のときは実家への帰省が多く、独立記念日のときは夏ということもありレジャー関連に充てることが多いようです(あとは新年に休みをまとめてとる人もいます)。
独立記念日の過ごし方は人それぞれですが、このシーズンならではの楽しみがあります。それは、花火大会、コンサート、コンテストなどの各種イベントなどです。また、これらを目当てに多くの人が出てきていますので、これらイベント終了後にクラブやバーなどの盛り場へと繰り出すのも楽しみの1つです。ニューヨークで毎年開催されているホットドッグの早食いコンテストも、この時期のイベントの1つですよね。今年もどうやら、例の日本人の方が優勝したようです。
ベイエリアの休日
こうした独立記念日のイベントの数々は、サンフランシスコ~オークランド~サンノゼ一帯を含むベイエリアでも体験することができます。楽しみの1つは花火大会で、日没の夜9時半~10時ごろからスタートする花火を目当てに、ベイエリアの各所に人が集まってきます。ベイエリアだけで日本の首都圏くらいの広さがありますから、あちこちで大小さまざまな規模の花火大会が開催されています。人によっては、車で各所の花火を一度にまわる花火ツアーを敢行するケースもあるようです。
サンフランシスコ市内から見える代表的な花火大会は、ゴールデンゲートブリッジを渡って海の対岸にあるサウサリート周辺のマリン・カウンティのものでしょう。花火を楽しむのに最適なスポットは、フィッシャーマンズワーフ周辺になります。ただし、ゴールデンゲートブリッジ周辺は冷たい海の空気が流れ込んで、非常に霧や雲が発生しやすい場所でもあるので、運が悪いと会場周辺が厚い雲で覆われてしまいます。実際、昨年2004年の花火大会では雲の中で花火が爆発している状態で、ほとんど見ることができませんでした。
で、今年はどうしようかと迷っていたところ、前回にも登場した山下さんのお誘いもあり、マウンテンビューのコンサート会場で花火大会を楽しむことにしました。マウンテンビューは、ベイエリアでもサンノゼ寄りにある場所で、気候も温暖、閑静な住宅地があることで有名です。マウンテンビューに本拠を構える著名IT企業としては、ざっと列挙しただけでGoogle、Yahoo(正確には“サニーベール”ですが)、Veritas(Symantec)、VeriSignなどがあります。7月4日にサンノゼ周辺では、サンノゼ、グレイトアメリカ(サンタクララ)、マウンテンビューの3ヶ所で大きな花火大会があるとのことで、今回観にいったのもそのうちの1つです。
野外コンサート会場で、San Francisco Symphonyのオーケストラ演奏をバックに花火が上がる姿は壮観でした。家族連れやカップル、周辺のIT企業で働いているとおぼしきインド人や中国人の若いエンジニア(?)集団も見かけました。皆、明日からの長い仕事の1週間を前に、つかの間の休日を楽しんでいるという感じでしょうか。