優秀なエンジニアに求められる3つのスキル
昨日のブログでは「優れたエンジニア」について、まとめてみました。こちらについては、今も昔も、これからも本質的には変わらないでしょう。ただ、「優れたエンジニア」であることを目指さなければ、いまの時代に生き残ることが難しい状況にあることは、知っておくべきかも知れません。それは、ITビジネスに求められる技術が、「作る技術」から「作らない技術」へとシフトし始めていることです。
「作る技術」とは、「仕様書に定められた機能を実装することを目的に、プログラムを作る技術」です。「作らない技術」とは、「ビジネスの成果を達成することを目的に、既存のITサービスを駆使し、できるだけ作らずに短期間でITサービスを実現する技術」です。
その目的は、次のようになります。
- 作る技術を前提としたビジネス:工数を売る
- 組織力を駆使して、作る技術を持つエンジニアをできるだけ多く動員し、工数を最大化して、売上規模を拡大すること
- 作らない技術を前提としたビジネス:技術力を売る
- 個人とチームの自律と自発を促し、作らない技術力を磨くための環境を整え、作らない技術力を持つエンジニアをお客様の事業の成果に見合う金額で提供して、高い利益率を継続的に確保すること
また、求められるエンジニアのスキル要件も違います。
- 作る技術を前提としたエンジニア:
- お客様からインタビューして、要件を定義し、WBSに従って進捗を管理するPMや仕様書に従ってコードを書くエンジニア
- 作らない技術を前提としたエンジニア:
- お客様と事業の目的とビジョンを共有し、ITサービスを提供するための障害を排除しお膳立てを整えるスクラムマスターと、既存のサービスや技術を自分たちで目利きし、最速最短でビジネスの成果に供するITサービスを実現するエンジニア
後者の要件に見合うエンジニアが、いま求められています。
いつの時代も世の中の求めるものは、変わり続けます。そんな変わり続ける世の中に俊敏に対応できるのが、「優秀なエンジニア」です。ただ、この変化が加速度を増しているのがいまだと言うことです。
- AIを日常の手段として使いこなし、クラウド前提でシステムを構築できるスキル
- ビジネスの言葉でユーザーと会話し、すぐに実装して現物を見せ、変更に即応できるスキル
- 最新のシステム技術を前提とした、最適なシステム・アーキテクチャーと業務プロセスやビジネス・モデルを提案できるスキル
端的に言えば、このようなスキルが求められるということです。
コード生成、つまり工数は、もはやAIに置き換えられつつあります。そのような知的力仕事から知的創造へと自分の役割をシフトしていくことを目指さなくてはなりません。
「今の仕事が忙しくて、このようなスキルを磨く時間的余裕がありません。会社がそういう時間を作ってくれなければ無理ですよ。」
このような想いが出てくることこそが「知的力仕事」に洗脳されている証拠です。会社は短期的な収益が見込めないことに時間を割り当てることはないでしょう。特に利益率の低い企業にとっては、稼働率の低下は経営に直結しますから、「わかっていいる」とは言いながら、決断は下せません。
個人は会社の一部ではありません。新たなスキルを磨くのは、個人として成長し、自分の裁量でよりよいキャリアを選択できる自由度を高めるためです。そのための工夫もまた「知的創造」と言えるでしょう。
AIの性能は、これからも急速に伸び続けます。そんなAIに使われないためには、人間もまた性能を上げていかなければならないのです。
知的創造を支える知識を手に入れる!
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日 開講)
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日[水]開講)の募集を始めました。
特別補講の講師が決まりました。
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企業文化の変革に挑む富士通の取り組み
〜フジトラの実践を通じて見えてきたITビジネスのあるべき姿と課題〜
特別講師:富士通株式会社 執行役員常務 CIO(兼)CDXO補佐 福田 譲 氏
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富士通は、いま「フジトラ(富士通トランスフォーメーション)」に取り組んでいます。フジトラは、ビジネス・モデルや業務プロセスの変革に留まらず、企業文化の変革にも踏み込んだ、会社を作り変えようという取り組みです。道半ばとはいえ、確実に成果が現れつつある一方で、様々な課題にも直面しています。そんなフジトラの実践をリードする福田譲氏に、フジトラの"いま"を"正直に"ご紹介頂きます。
DXの実践に取り組む多くの企業にとって、大変参考になると思います。
次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
ITに関わる仕事をしている人たちは、いま起こりつつある変化の背景にあるテクノロジーを正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
詳しくはこちらをご覧下さい。
※神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO(やまと)会員の皆さんは、参加費が無料となります。申し込みに際しましては、その旨、通信欄にご記入ください。
- 期間:2024年10月9日(水)〜最終回12月18日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み 99,000円)
- 内容:
- デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
- IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
- これからのビジネス基盤となるIoTと5G
- 人間との新たな役割分担を模索するAI
- おさえておきたい注目のテクノロジー
- 変化に俊敏に対処するための開発と運用
- アジャイルの実践とアジャイルワーク
- クラウド/DevOps戦略の実践
- 経営のためのセキュリティの基礎と本質
- 総括・これからのITビジネス戦略
- 特別補講 :富士通・常務取締役 福田譲 氏
- 企業文化の変革に挑む富士通の取り組み〜フジトラの実践を通じて見えてきたITビジネスのあるべき姿と課題〜
神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO
8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。
6月22日・販売開始!【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版
生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。
これからは、「ITリテラシーが必要だ!」と言われても、どうやって身につければいいのでしょうか。
「DXに取り組め!」と言われても、これまでだってデジタル化やIT化に取り組んできたのに、何が違うのかわからなければ、取り組みようがありません。
「生成AIで業務の効率化を進めよう!」と言われても、"生成AI"で何ですか、なにができるのかもよく分かりません。
こんな自分の憂いを何とかしなければと、焦っている方も多いはずです。