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「決心してから行動する」のはやめたほうがいい

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ITについて、これほどまでに世間が後押ししてくれる時代は、かつてありませんでしたよ。」

大手製造業のCIOの方から、こんな話を伺いました。

DXAIの大騒ぎのおかげで、経営者がITにとても関心を持っています。」

経営者はITについて聞く耳を持っています。それが何か、何ができるのか、どのように使いこなせばいいのだろうかと思っている方も多いでしょう。こんなチャンスがあるにもかかわらず、こういう人たちに関わることをためらっているIT営業が多いような気がします。

「どうやって行けばいいのか分かりません。」

何を話せばいいのか、分からないというのです。

「まずはアポイントメントをとってはどうですか。」

カタチから入れ!である。情報を集め、ネタを用意してからアポイントメントをとるなんて、考えるだけでも気が遠くなる話しです。必要は発明の母。必要に迫られれば、情報を集めなくてはならなくなるし、学ばなくてはならず、ネタも用意しなくてはなりません。どうしようもない状況に自らを置くことが、成長を後押しし、チャンスをつかみ取る早道であるように思います。

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私自身も初めての分野でのご依頼は、一瞬身構えますが、「これはいい勉強の機会だ」という打算がモチベーションをかき立ててくれます。何よりも、新しいことをやることは「楽しい」し「ワクワク」します。だから、まあ何とかなると目先も考えずに引き受けることが多く、何とかしてしまいます。

先日、他部門から情報システム部問へ転属になったという20代の女性が、私のITトレンドの研修を受講しました。

「何のためにこのような研修をうけなければならないのか、よく分かりません。実践に役に立つのでしょうか。こういうことを学ぶことの意味を教えて頂けないでしょうか。」

なんと正直な人だろうと、苦笑いしてしまいました。

「どれほど理を尽くして意味を説明しても、あなたは納得しないでしょうね。そもそも情報システム部門に転属させられたことが納得できないのではありませんか。もしそうなら、誰がその理由を説明しても、あなたは納得しないでしょう。あなたが自分でその理由を見つけるしかありません。」

彼女はその通りだと"納得した"様子でした。

「自分に向いているとか向いてないとかなんて、あなたの短い人生経験の中で、決めてしまっていいのでしょうか。少ない経験しかないのに、自分で自分の可能性を狭めてしまうのは、とても残念です。」

その後、彼女は最後まで熱心に私の講義を受けてくれました。

営業が経営者にアプローチすることは、新しいビジネス・チャンスを手に入れるためには是非とも実践したいことです。これまでは、情シスにしかアプローチしていなかった自分が、未経験の経営者にアプローチすることで、新しいビジネスのきっかけを掴むことができます。いや、それ以上に自分の未知なる可能性に気付く機会になるかも知れません。新たなキャリアにつながるきっかけがそこにあるかも知れません。それよりも何よりも、新しいことに関われることが楽しいと考えてみてはどうでしょうか。

スタンフォード大学の心理学者であるキャロル・S・ドゥエックは、人間には、「固定的知能観」か「拡張的知能観」かのいずれかの心の有り様があり、それによって、その人の能力は決まってしまうというと主張しています。

固定的知能観(fixed-mindset)の持ち主とは、自分の能力は固定的で、もう変わらないと信じている人。彼等は、自分の能力はこの程度だから、努力しても無駄だとみなします。また、自分が他人からどう評価されるかが気になり、新しいことを学ぶことから逃げてしまいます。彼等が学ぶのは、それが自分にとって利益になる場合です。つまり、これを知らなければ仕事がこなせない、収入が減るなどの場合に限られます。

一方、拡張的知能観 (Growth-mindset)の持ち主とは、自分の能力は拡張可能であると信じている人。彼等は、人間の能力は努力次第で伸ばすことができると信じ、たとえ難しい課題であっても、学ぶことに挑戦します。彼等は、好奇心旺盛に自らテーマを作り、学ぶこと自体を楽しむことができます。

このような、「知能観(Mindset)」が、学習についての意欲を左右し、能力の獲得や育成に大きな影響を与えるという考え方です。

自分はどちらの「知能観」の持ち主でしょうか。そのことに気付くことは、大切なことだと思います。その上で、克服すべきことを自分で見つける以外に、成長の機会はありません。

話しは、大いに横道にそれてしまったが、経営者に行く気があれば、まずは経営者にアポを獲ればいいのです。

AIDXが大流行の時代です。経営者も言葉くらいは知っています。それが何か、何ができるのか、どのように使いこなせばいいのだろうかと思っている方も多いでしょう。これはもうチャンス以外の何ものでもありません。

「御社の目指す"あるべき姿"はこういうことだと思います。」

そんな提言からはじめましょう。そうすれば、彼らにはいまの自分たちの現実とのギャップが描けるに違いありません。それをきっかけに対話し、何をすべきかを優先順位を決めながらあきらかにしてゆくことです。

決心してから準備して行動するのではなく、行動すれば自ずと決心は固まり準備しなくてはなりません。

さあ、あなたはどうしますか?

「なるほどよく分かりました。自分としてどうすればいいのか、じっくり考えて決心を固めて、行動します。」

あれ?

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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

  • 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー

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八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

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