バイラル動画広告週間視聴ランキング<2011/6/13-19>T-モバイルの「Angry Birds」は2位
Visible Measuresから、2011年6月13日~19日までのバイラル動画広告週間視聴ランキングが公開された。このVisible Measuresから公開されたデータに、私が独自に集計したデータを加え、タイトル別、ブランド別、産業別にランキングを作成し、1週間の動きを振り返ってみたい。今週は強力な作品が多く、上位陣はかなりハイレベルな争いとなった。
【1】 タイニープリントの「Make Their Day. For Free」が初登場1位、T-モバイルの「Angry Birds」は2位に
1位は、タイニープリントというインターネットサービスを提供する企業が、5月19日に公開した「Make Their Day. For Free」。1週間で310万ビューを集め、6月8日に公開されたT-モバイルの話題作「Angry Birds」、前週1位のダートデビル「You Know When It's the Devil」という強力なライバルたちを抑えての1位となった。子供の成長を、父の日に贈るグリーティングカードで振り返るという45秒の短い作品だが、父の日とちょうどタイミングが合ったことが、視聴回数を大きく伸ばした原因であると思われる。ちょっとジーンとさせられるバイラル動画広告だ。
■ 1位: Make His Father's Day (For Free)
2位は、大方の予想を裏切ってT-モバイルの「Angry Birds」。誰もが1位を予想したと思われる、T-モバイルが満を持して公開した「Angry Birds」が2位に終わった。口コミ数は断トツの12,197件ながら、視聴回数は思ったほど伸びなかった。4月15日に公開された「Royal Wedding」の初登場週の視聴回数が850万ビューだったことを考えれば、やはり少し物足りない結果だったと言っていいだろう。
■ 2位: Angry Birds
3位は、前週1位だったダートデビルの「You Know When It's the Devil」。4月29日に公開された、どちらかと言えば旬を過ぎたバイラル動画広告だと思われていたのだが、ここ4週間TOP3に君臨している。エクソシストの続編かと思わせておきながら、上質のコメディに仕上がっている、非常に完成度の高いバイラル動画広告だ。
■ 3位: Dirt Devil-The Exorcist
その他では、6月に公開され、今回始めてTOP10にランキング入りした5位のペリエ「Le Club Perrier」と、10位のBMW「Concrete Walls」の2タイトルを紹介しておきたい。どちらも、もうしばらくはTOP20位以内に留まっていそうな予感がする、次週以降のランキングが楽しみなバイラル動画広告だ。
■ 5位: Le Club Perrier - Can you handle the heat?
■ 10位: BMW 1M - Walls - MPowered Performance Part 1
また、私のブログではもうすっかり定番になっている、4位にランキングされているエビアンの「Live Young」と、6位にランキングされているブレンドテックの「Will it Blend?」の強さがひと際目立っている。この二つは、何度紹介しても紹介し尽くすことができない魅力に溢れているバイラル動画広告だ。
【2】 ブランド別でも上位陣の顔ぶれは変わらず。但し、アプローチの差が明確に
今回は、タイトル別のTOP3が、そのままブランド別でもTOP3になるという、ちょっと珍しい結果となった。それだけ、TOP3のビュー数がいつもの週よりも多かったということだろう。ブランド別のランキングをまとめてみると、そのブランドのバイラル動画広告に対するアプローチの違いが明確になって面白い。
下の図を見てほしい。タイニープリント、ダートデビル、エビアン、ペリエ、ブレンドテックは、同時期に複数のタイトルを公開するようなことはせず、一つのタイトルに集中して視聴回数を増やすアプローチを取っている。一方、T-モバイル、ハイネケン、オールドスパイス、ナイキ、グーグルは、同時期に複数のタイトルを公開させ、ブランド全体で視聴回数を増やすアプローチを取っている。中でも、グーグルの徹底振りがわかりやすい。何と13タイトルも公開された状態になっている。ブランド全体で視聴回数を増やそうとするアプローチが明確だ。
どちらのアプローチが正しいか・正しくないかといった次元の話ではない。そのブランドに合ったアプローチを選択するのが一番である。ただ、企業が始めやすいのは、ブランド全体で視聴回数を増やすアプローチの方だ。いろんなバイラル動画広告を公開することで、効果を測定しながらノウハウを蓄積することができるので、一つのタイトルに集中するよりはリスクが少なくてすむと思われるからだ。
【3】 産業別の1位は僅差でインターネットサービス
タイトル単体で300万ビュー以上を記録した、タイニープリントが属しているインターネットが産業別の1位となった。インターネットが産業別で1位になるのは非常に珍しい現象で、ちょっと記憶にない。改めて、タイニープリントの「Make Their Day. For Free」が与えたインパクトの大きさに驚いている。
2位以下は、僅差で産業別ランキングの常連が続く結果となった。どの産業も強力なブランドを抱えているため、その週にたまたま100万ビューを集められるタイトルがあるかどうかで、順位は大きく変動する。
【4】 週のまとめ
●タイトル別では、上位4位までが100万ビューを超えるという、非常にレベルの高い争いとなった。
●3位にランキングされているダートデビルの「You Know When It's the Devil」は、4週連続で100万ビュー以上を記録しており、6月の月間ランキングでの上位進出が期待される。
●ブランド別では、タイトル単体でヒットを狙うアプローチと、ブランド全体で視聴回数を集めるアプローチに大きく分かれる。
●産業別では、タイニープリントとグーグルが顔を揃えるインターネットサービスが、僅差で他の産業を抑え1位となった。