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世界売りの惨状を救うのはお金でなくて人である

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加速し続ける世界同時株安。リーマンショックからはじまった最近の世界情勢を見ていると、日本が売られているとかアメリカが売られているかというレベルの話ではなくて、世界全体が売られているとしか思えないような惨状である。世界中の金融機関が再編されるなどということはちっぽけなことで、今まで築き上げてきた世界のシステム構造そのものが崩れ、再編されようとしているのではないだろうか。

先週は、何かそうした不安とも違う、得体の知れない今までに経験したことがない空気が社会全体を支配しているような一週間だった。

先週、妻に加え小学校4年生になる娘にまで、「パパの会社、倒産しない?」と何度も聞かれた。何となく不安だったのだろう。たしかに社員4人の吹けば飛ぶような小さな会社である。月次の決算だってまだ赤字だ。家族にしてみれば、直感的にベンチャー企業なんか真っ先に吹っ飛んでしまうのではと思ったのかもしれない。

「大丈夫だよ」と答えてみるものの、その前に付け加えるべき「今はね...」という言葉はぐっと飲み込むしかないではないか。大企業の経営者も不安だろうが、ベンチャー企業の経営者はもっと不安である。

ただ、不安ではあるが悲観はしていない。これが大企業に勤めるサラリーマンだったら、会社の経営陣の言葉を信じ、「大丈夫らしいよ」で終わるかもしれないが、今は自分が経営している。「大丈夫だよ」と自信を持って口にすることができる。やるべきこともわかっているつもりである。

大量のお金が投入されようとしているが、一番重要なのはお金ではなく人のような気がしてならない。お金はもちろん必要だが、それを使う人間の心がなければ意味をなさない。それを証明するかのように、お金はあっても経営陣に心がない企業が真っ先に消えていっている。もう嘘や誤魔化しは通用しないのである。

資金調達がほとんど不可能な現在、ベンチャー企業を助けてくれるのは人しかない。結局のところベンチャー企業は、社員、株主、取引先、顧客、その他のステークホルダーに力を貸してもらいながら現在の難局を乗り切って行くしかないということをこの頃痛感している。もしわたし一人だけだったとしたら、お金があってもとっくに倒産していることだろう。

家族に向かって、自信を持って「大丈夫だよ」と答えられるようになるには、もう少し時間がかかりそうだ。

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