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オヤジだって転職できるということを伝えたかった本

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2005年の3月に出した「エンジニア35歳からの転職」という昔書いた本が、翔泳社が運営しているcareer zineという転職情報サイトで、「35歳から始めたボクの転職体験記」というタイトルのコンテンツとしてリニューアルされたカタチで紹介されている。リニューアルはちょっと大げさかもしれない。別に今回のために書き直したわけではないから。

この「35歳から始めたボクの転職体験記」というコンテンツ、career zineの中でもまあまあの人気のようで、コンテンツが更新されると毎回上位にランキングされている。本の発売から3年たっても、転職に関するビジネスマンの意識は昔と何も変わっていないということだろうか。

「エンジニア35歳からの転職」という本は、転職することを無条件で美化することが目的の本ではなく、あくまでも自分の転職経験を参考にしてほしいという気持ちから書いた本である。よく、転職をしなければ成功はつかめないといった内容のことを書いている本だと勘違いされることがあるが、決してそうではない。

オヤジだって転職してキャリアアップできるということが、この本で一番伝えたかったメッセージだ。この本を書いた時、私はすでに45歳になっていたし、その時点ですでに7回か8回は転職を経験していた。そして、その後も懲りずに転職・独立・起業を経験することになる。転職を題材に、新しいことに挑戦する上で、年齢なんて障害にならないということを書きたかったのだ。

当時、転職やキャリアアップについて書いてある本のほとんどが若手ビジネスマンを対象にしたもので、オヤジ世代のための転職やキャリアアップについて書いてある本がまったくといっていいほどなかった。そして、その状況は今もまったく変わっていないように思う。転職やキャリアアップは若手ビジネスマンのためのものだという論調が圧倒的に目立つ。起業ついても同じだ。20代や30代で起業しなければ成功はない、といった内容の起業ハウツー本がとても多い。

でも、実際はそんなことはないわけで、40代や50代でも転職をしてキャリアアップしたり、起業して夢をかなえることだって可能だ。もしそれができないとしたら、オヤジの人生なんて味気ないものなってしまう。結果はともかく、年齢を基準に挑戦することさえ許されないような社会なんて意味がないし、年齢に関係なく挑戦する権利だけは公平にあるべきだと思う。

もう一つこの本で伝えたかったことがある。華麗なる転職なんてありえないということだ。本を書いた45歳の時点で7、8社の転職に成功していても、その何十倍もの数の会社から不採用通知をもらっている。なかには、必死にはいつくばった末にやっと転職できたケースもある。転職は簡単ではない。そして、独立や起業となるとなおさら簡単にはいかない。

よく転職情報サイトで華麗なる転職&キャリアアップを果たしたビジネスマンの例が紹介されているが、あんなことは自分の身には起こらないということを肝に銘じて転職活動をするべきだ。転職というのは、もっとドロドロしたものだから。それくらいの覚悟を持って臨んだ方が、きっといい転職ができるはず。

最後に、ウェブサイトのコンテンツに採用されたことで嬉しい現象も出始めている。それは、最近になってアマゾンなどで本が売れ出したこと。もちろんわずかではあるが、やっぱり嬉しいものだ。

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