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ライブを観ておきたかったブラジルの歌姫エリス・レジーナ

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エリス・レジーナがたまらなく好きだ。もしかしたら、女性ボーカリストの中で一番好きかもしれない。シルヴィア・テリスもガル・コスタももちろん好きだけど、エリス・レジーナはその中にあっても特別な存在だ。

私が、エリス・レジーナに対して特別な感情を抱いているのには理由がある。それは、私にブラジル音楽の素晴らしさを教えてくれたのは、アントニオ・カルロス・ジョビンもジョアン・ジルベルトでもなく、エリス・レジーナだったからだ。

彼女の残したアルバムを改めて聴いて思うのだが、エリス・レジーナという人は本当に天才である。36歳という若さでその生涯を閉じてしまうのだが、そのあまりにも早すぎる死が本当に惜しまれる女性シンガーの一人だ。

私が彼女の歌を最初に聴いたのは、アントニオ・カルロス・ジョビンとの共演で知られる「エリス&トム」というアルバム。このアルバムは1974年に録音されたアルバムで、全曲アントニオ・カルロス・ジョビンの曲を取り上げていることでも知られている。

大学生の時に、元々アントニオ・カルロス・ジョビンが目当てで買ったアルバムだったが、1曲目の「三月の水」でガーンと脳天を打ち抜かれてしまったことを今でもはっきりと覚えている。それほどまでに、このアルバムの「三月の水」は強烈な印象を私に与えてくれた。

このアルバムは、完全にエリス・レジーナのアルバムだ。アントニオ・カルロス・ジョビンは数曲しか参加しておらず、エリス・レジーナの凄さばかりが目立っているアルバムである。エレピ中心のアレンジも見事というしかなく、アナログ盤は本当に擦り切れるほど何度も繰り返し聴いたものだ。

エリス・レジーナの作品の中で、もう一つ忘れることができないアルバムがある。それは、「或る女」という題名のアルバム。このアルバムは、1979年に録音された彼女の晩年を代表する作品で、1曲たりとも捨て曲がないMPBを代表する名盤である。「エリス&トム」とはまた違った、34歳の円熟したエリス・レジーナの歌声を楽しむことができる。

私の記憶が確かであれば、実はこの「或る女」を発売した1979年に、エリス・レジーナはライブ・アンダー・ザ・スカイに出演するために来日しているはずだ。なぜ覚えているのかというと、ブラジル音楽ファンの友達に、当時一緒に観に行こうと熱心に誘われた記憶があるからだ。

ところが、当時の私はジャズにしか興味がなく、なんとその誘いを断ってしまった。エリス・レジーナの良さが、当時はわからなかったのである。いま思えば、本当に勿体無いことをしたと反省している。

エリス・レジーナのライブ、観ておくんだった。。。

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