ロングテールを実践することの難しさ
ロングテールを実践しているサービスの事例としてよく取り上げられるのが、グーグル・アドセンスとアマゾン。グーグル・アドセンスは、あまりトラフィックがない小さなウェブサイトや、個人のホームページに対してもネット広告を配信したサービスとして有名です。グーグル・アドセンスが登場したおかげで、小さなウェブサイトや、個人のホームページを管理している人間であっても、広告収入を得ることができるようになったわけですから、これは確かに画期的なことです。
一方アマゾンは、リアルな書店が書棚に置かない、全体の80%にのぼるあまり売れていない本の売上の合計が、全体の売上の30%~50%を作り出すと言われています。ところが、リアルな書店の場合は、まったくこれとは正反対です。全体の20%しかないベストセラーが、全体の売上の80%を作り出します。
グーグル・アドセンスにしてもアマゾンにしても、それまでのサービスがあまり積極的にアプローチしなかった、いわゆる「おいしくない」と思われていた相手に対してもサービスを提供し、収益を上げている点が画期的だと言われています。ロングテールは、一つ一つの規模が小さくても、それが集まって相当な数になれば、それがビジネス的に大きな価値を生むことを証明してくれています。
ロングテールに関しては、ネットの世界だけで成り立つものだという意見もあれば、リアルな世界でもちゃんと成り立つという意見もあって、それぞれです。どちらが正しいかは別にして、ロングテールをリアルな世界で実践するのは、意外に難しいことだと最近思うようになりました。
たとえば、営業の世界では、どうしても目先の売上を達成することに気がいってしまい、大きな売上が見込める顧客ばかりを大切にしてしまうといった現象が起こりがちです。頭では、小さな売上でも数が集まることで、相当な規模になることがわかっていても、なかなか行動に移すのが難しいものです。
だから、重要なことはわかっていても、なかなか実践するのが難しい。それがロングテールじゃないかと、最近思っています。そういう意味で、ロングテールは、Web 2.0の中でもちょっと変わった存在です。