「ありがとう」の魔法
正直に言うと、かつては電車やバスで席を譲るということについてはほとんど無頓着でした。
それこそ、こっちだって疲れてるんだし、とか、まあ元気そうだから平気じゃん、とか、そんな風に自分なりに言い訳してみたり。
考えてみれば、馬鹿馬鹿しいですね。
席を譲るなんて僕らからすれば大したことじゃないんだから、むしろじゃんじゃんやればいい。
ゴミだって拾えばいい、困ってそうな人がいたら声かければいい。
なんの避ける合理的な理由があろうか、ということです。
まあ、いい大人が今更何を言うか、というような、お恥ずかしい話ではありますが、そういうことで、今ではむしろ積極的に席を譲るようにしています。
昨晩11時過ぎまでかかった打ち合わせから引き上げる電車でたまたま目の前の席が空き、座っても平気そうだったので腰を下ろしたところで、乗ってきた年配の女性がいました。
見た目はそんなに高齢というほどでもなく元気そうでしたが小柄な方で、座れない状態でなんとなくおろおろしている様子。
うーん、もしかしたら遠慮されてしまうかもしれないと思いつつも、列車が駅を出る前に席を譲りました。
反応は、遠慮とか拒絶とかではなく、「え?!、いいんですか?・・・ありがとうございます。」と、とても丁寧な御礼。
こちらは、ノープロブレム、どうぞどうぞ、ということで、むしろ座らせる勢い。
席に着かれもう一度、ありがとうございましたの声。
口をついて出る「ありがとう」は、癒されるというか気持ちが晴れやかになるというか、本当に素敵な言葉だと思います。
いいことしたとかしないとか、そういう次元を超えて、幸せな気持ちの帰り道となりました。
そういえば、ぽぽぽぽーんのCMで、魔法の言葉って言ってましたよね。
「ありがとう」が生まれるようなアクションをどしどしとればいいし、遠慮なく「ありがとう」で返せばいい。
ありがとうで気分がわるくなるとか損するとかマイナスの要素はひとつも無いんだから。
ありがとうがたくさんある社会は気持ちのいい社会であるに違いありません。