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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

年頭所感2014:Azureを虹の彼方に

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2014_madobeブログ更新が滞るようになって久しいが、新年ということで心意気を述べさせていただきたい。
(上図:コミケ85用のオリジナルイラストより)

「今の私は、自らを『器』と規定している。
宇宙に捨てられた者たちの想い、ジオンの理想を継ぐ者たちの宿願を受け止める器だ。
彼等がそう望むなら、私はシャア・アズナブルになる。
このマスクはその為の物だ」

ガンダムユニコーン episode2のワンシーン。宇宙世紀0096時点における、ネオ・ジオン軍、通称「袖付き」首魁フル・フロンタルが自らの正体を問いただされた際の返答である。フル・フロンタルって誰?という方は2年前に書いたコチラの投稿を参照いただきたい。(ガンダムUCの小説版に基づくネタバレ注意)

2014年最初のブログ投稿をこのセリフからはじめるのは、今私がおかれているリアル社会の状況と現時点での心境を適確に表しているためである。奇しくもガンダムユニコーンOVAが最終章 episode7 「虹の彼方に」の公開を5月に控える本年、マイクロソフト生活5年目を迎えた私の活動においてもひとつの区切りとなるだろう。


YouTube: 機動戦士ガンダムUC episode 7 「虹の彼方に」特報

本投稿では、我々がおかれている戦況の変化を改めてみなさんに説明すると共に、2014年の注力ポイントや戦況予測をここに書き記しておきたい。

■第135小隊の部隊長としての苦悩と覚悟

半年前、下記投稿で記載した通り、現状の任務はAzure啓蒙を選任で行うエバンジェリストから、スタートアップや学生など、マイクロソフトとの関係性が比較的薄いと思われる領域に注力するエバンジェリストチームのマネージャーとなっている。

【第135 MS小隊設立】最前線スタートアップと学生領域における和平的対話を任とする

当時は、マネージャーをやりながらもエバンジェリストとして一線を張れると考えていたのだが、半年間やってみてそう甘いポジションでないことがわかってきた。チームの戦闘力を最大化するために、時には自らサザビーを駆って出撃し戦況を打開することも必要かもしれないが、基本的には母艦レウルーラから指揮を執るのが仕事であり、それなりに時間や思考を割かなければならない。マイクロソフトにおけるマネージャー業務というのはそれなりに大変であることを痛感すると共に、これまで生意気な部下としてお世話になってきた方々に感謝の念が絶えない。

逆襲のシャアでロンデニオンにおけるアムロとの偶発的な邂逅の際、
「私はお前と違って、パイロットだけやってる訳にはいかん!」
とシャア・アズナブルも宿敵を前に漏らしているが、まさに同じ心境である。
とはいえ、いつでも最前線で戦えるよう、日々の鍛錬は大事にしておきたい。
また、せっかく使えるようになったチームマネジメントという特殊スキルを最大限に発動し、チーム内のみならず社内外への影響力をより高める方向で、引き続きがんばる所存である。

「さて問題は、私に明確なニュータイプの素養があるかどうかだが…」
と、ア・バオア・クー戦で初めてニュータイプ(NT)専用機ジオングに搭乗した際に自らの能力に疑念を抱いていたシャアも、14年後にはNT機サザビーを乗りこなすだけでなく、天性のカリスマを発揮して
「諸君!自らの道を拓くため、難民のための政治を手に入れるために!あと一息!諸君らの力を私に貸していただきたい!そして私は…父、ジオンの元に召されるであろう!!」と心震える演説するネオ・ジオンの指導者になっている。私もその道を進みたい。
新任マネージャーの奮闘を、今しばし暖かく見守っていただけると幸いである。


■(スタートアップ&学生)+クリエイター:領域の拡張

第135MS小隊の任務は上記の通り、現時点においてマイクロソフトとの接点が少ない起業家と学生のみなさまのA.T.フィールド(心の壁)を中和して、対話の機会を増やしてもらうことにある。この任務は、我々がこれまでゲリラ的にやってきたことを正規軍として組織だって展開していると同時に、会社から責任範囲としてアサインされているものであり、それぞれに目標・業績管理指標が設定されている。これらの活動については、武田がスタートアップを、渡辺が学生を、それぞれ中心となって周囲の協力を得ながら活動することで、ここ半年でおおよそ軌道にのせることができつつあり、2014年も継続・発展的に推進する予定である。

さらに、まだ社内でもきちんと相談しているわけでもないのだが、これに加えて、クリエイターという言葉で広義に括ることができる人たちとの対話窓口を、我々のチームで担おうと考えている。これは、マイクロソフト全体がソフトウェア開発者フォーカスで動いている中、プランナーやデザイナー、WebでいうところのCSSやFlashを担当される方々のケアがホワイトスペース的になっていること、そして、現状のエバンジェリストチーム編成において、その対応に適性の高いメンバーが135小隊に多く存在していることからの着想である。春日井がWeb/動画方面を、戸倉が二次元、二次創作方面を、馬田がKINECT方面を担当できれば、いさごが全体統括することでインパクトのある活動を展開できそうであるし、コミケのような取り組みも正当化しやすい。今後チーム内で議論の上、検討してゆきたい。

こういう話を考えているときに頭に浮かぶのは、ガンダムユニコーン episode6 最後のユニコーン発進シーン。次代を担う若者を応援したいという気持ちに嘘偽りはないのだが、最近ちょっと気になっていることがある。気がつくとオットー艦長側に感情移入している自分に、それでいいのか!と。実年齢や立場にとらわれることなく、いつまでもバナージのように純粋で若くいたいと切に思う。

「フル・フロンタルが示したサイド共栄圏構想と、ミネバ殿下が言う可能性に揺らぐ未来。どちらが正しいことなのかは、私にもわからない。
それを決めるのは我々ではなく、今を生きる若者たち。
これから生まれてくる、まだ見ぬ子供たちだろう。
彼らに判断を委ねるためにも、我々は生きて帰らねばならない!」


■Microsoft Venturesへのコミット

2014年最大のフォーカスポイントはMicrosoft Venturesである。
マイクロソフトがスタートアップ企業と正しく向き合うために展開している活動で、大きくBizSparkプログラム提供、Community(各種イベント協力), Accelerator(インキュベーションプログラム), Fund(SEED段階少額投資)を米国他世界数拠点で展開しているのだが、日本での活動については2014年以降に推進する方向で準備している。いわゆる、Corporate Venture Capitalというやつである。

Msv01

年初よりスタートアップ界隈のみなさまが新聞他さまざまなメディアでとりあげられるようになり、起業という行為が世の中に受け入れられつつある日本において、アベノミクスの創業支援戦略もようやく歯車がかみ合ってきつつある。このタイミングで、Microsoft Venturesの日本における責任者を任されている私は非常にラッキーであり、光栄に思っている。

さて、盛り上がりをみせる日本のスタートアップ界隈に後発で参入するにあたり、Microsoft Venturesは他のCVCと比べどういうポジションをとろうとしているのか?先行するインドや中国、イスラエルで好評を博しているAcceleratorがフルスペックで実現できればオブリゲーションなく参加できる付加価値の高いCVCインキュベーションプログラムとして位置づけられるのだが、Tokyoでの開設を待たずとも個別案件ベースでのご支援をいろいろとさせていただいている。その特長を端的に示すのはCustomer Access Programというアプローチで、マイクロソフトがHubになり、スタートアップのソリューションを弊社の大手企業のお客様、パートナー企業様とのコラボを誘発するものである。コンシューマービジネスと優良な顧客とのエンタープライズビジネスの両輪をバランスよく展開しているマイクロソフトだからこそできる戦術ではないかと考えている。

Msv02

近いうちに日本でもMicrosoft Venturesとしてのイベントをお知らせできると思うが、起業家や、スタートアップを支えるエコシステムのみなさんと一緒になって、日本のスタートアップコミュニティをよりいっそう盛り上げてゆきたいと考えているので、今後の我々の活動に注目していただきたい。

■日本データセンターの開設、Azureに懸ける想い

2011年3月に開設されたAWSの東京リージョンに遅れること3年、ようやくAzureの日本リージョンを稼働せきそうな状況になってきた。東京、大阪同時稼働で、日本国内に閉じたディザスタリカバリー環境を提供できる予定だ。ここから破竹の快進撃が始まる!と脳内の妄想シナリオは完成しているのだが、我々だけでできることは少なく、エコシステム、コミュニティ全体の賛同や協力が必要となると考えている。まだ開設日を公にできる状況ではないのだが、これまでAzureを支えて、盛り上げてくださった皆様と共に祝えることを心待ちにしている。

AWSの先発優位は確かに大きいが、ジオン公国がUC.0074にMS-05ザクIをロールアウトしてから、連邦軍がRX-78ガンダムの完成、およびRGM-79ジムの量産に至るV作戦を完遂させるまで約5年を要していることを考えれば、まだまだ追撃は可能である。連邦軍としては焦らず慌てずどっかり構えて、安心してご利用いただける高品質なクラウド環境をご提供できるよう最善を尽くしたい。

しかしながら…、
最近のAzureの方向性やポジショニングについて、ひとつ納得いってない点がある。まずは下記、ネェルアーガマ艦内におけるミネバ・ザビの演説をお読みいただきたい。

「 『ラプラスの箱』がどのようなものであれ、それは私たちに大きな転機を与える。フロンタルの言うような未来を呼び込むことも出来るでしょう。それは、おそらく正しい。人類を永続させていくためには、唯一無二の現実的な解答かも知れない。でもそれは、本当に未来と呼べるものか。未来とは、今とは違う時間――より良き世界を指す言葉ではなかったか?そこに、ジオン・ダイクンが夢見た人の進化と調和は無い。ジオンの名を受け継ぐ者として、一年戦争の惨禍を引き起こした者として、私たちには責任があるのです!現実を現実と受け入れるだけではその責任を果たせない」

ガンダムユニコーン episode6後半のセリフだが、今の我々にとって非常に示唆に富んだものである。2008年にWindows AzureをCommunity Technology Previewとして世に出して以降、Azureはマイクロソフトにとって新しい領域に踏み出すためのプロトタイプ、あるいは橋頭堡的存在だった。初期の頃は、少人数のAzure専任部隊により、マイクロソフトがこれまでサーバーワークロードとして展開してこなかったソーシャルゲームやキャンペーンサイト、動画配信、スマホアプリのバックエンド、Webコンテンツ方面に果敢にチャレンジし、AWSや非Windows系勢力が圧倒的な国内外クラウドサービスとも激戦を繰り広げ、その過程で多くの学びと新しい仲間を得てきたのである。

昨年7月より私が135小隊を預かることになり、戦友であった石坂氏が米国本社勤務になるのと時を同じくして、Azureを扱うマイクロソフト社内の体制が大幅に広がり、高機能ストレージStore Simpleによるバックアップシナリオをはじめ、無難に勝てる戦術を編み出すことに成功するなど活動が本格化する一方、戦う姿勢に陰りが見えている、端的に言うならば、保守的になっているような気がしていてならなかった。(無駄なく効率的に展開できている、とも言う)

もちろん、大手企業のエンタープライズ利用に、安定感、安心感は必要だ。大手企業がスマホやWeb向けサービスを展開する場合なども同じである。マイクロソフトのクラウドにこれらの点を期待いただいていることは実に嬉しい限りだ。しかし、Azureを持ち出さなくとも、プライベートクラウド環境を構築するテクノロジー群を擁するマイクロソフトには、敢えてすべてのエンタープライズ用途をパブリッククラウドに担わせる必要もなく、従来通り、社内にサーバーをたててWindows ServerやSQL Serverでシステムを構成すればよい、という話になりかねない。そのような状況の中、コストメリットや管理の簡易性だけを訴求していては、Azureの存在意義が危ぶまれるに留まらず、そもそもクラウドって必要?という議論に遡る可能性もある。マイクロソフト社内だけでなく、IT業界全体が重力に魂を惹かれた、非常に慣性の強いフィールドであることを考慮すると、突き抜けて思い切ったことをやらない限り、その流れを変えることはできないのである。

Azureは、まだ見ぬ今とは違う時間、よりよき世界を実現するために、常に革新的な存在であり続けなければならないと考えている。

この流れを変えるべく(というだけでもないかもしれないが…)、入社以来私の上司でありメンターであり、大先輩である平野がテクニカルエバンジェリストマネージャーからパートナービジネスエバンジェリスト(営業職チーム)の責任者に転身することとなった。我々が展開してきた攻めの姿勢を社内外に広く展開することを期待されての抜擢である。平野&いさご各チームの連携で、Azureだからこそできる新規ビジネス創出支援をこれまで以上に積極的に展開したい。

さて、来たるべきXデーに向けて、ひとつどうしても実現したいことがある。
Azure日本リージョン開設の記念動画をつくりたい!テーマ曲はもちろん UNICORN ♪
おおよそのシナリオや絵コンテは脳内でほぼできているのだが、藍澤祈の反響やGMOのチーズナポリタンを持ち出しても、社内説得をがんばりきれる気がしない…。いっそAnipipoのようなクラウドファンディングで資金を集めて実現するのはどうだろうか、とXデーに向けて刻一刻と時間が過ぎ去ってゆく中、本気で考え始めている。

「我々は三年間待った。もはや、我が軍団に躊躇いの吐息を漏らす者はおらん。今、若人の熱き血潮を我が血として、ここに私は改めて地球連邦政府に対し、宣戦を布告するものである。繰り返し心に聞こえてくる祖国の名誉の為に、ジーク・ジオン!!」

というエギーユ・デラーズの演説+アナベル・ガトーの漢くさい雰囲気も個人的には嫌いではないのだが、今のところユニコーン路線でクラウディアを出演させ、Cloolに決める線が濃厚だ。


■シャアの粛正が意味するもの

元々戦略コンサル経験者で事業会社に身を置いていることもあり、以前からおおよそわかっていた部分もあるのだが、ここ半年、マネージャーになることでこの組織のいろいろな弊害や解決すべき課題がよりクリアに見えるようになってきた。2014年に心がける基本姿勢として下記を宣言したい。

「頭ごなしに決めつけてユーザーに強要する言動を一掃し、
 真摯にユーザーの声に耳を傾け、改善し続けること」

業界リーダーの一角を占める立場として、常に新しいテクノロジーや価値観を提案する。これはもちろん重要だ。
しかしながら、新しいテクノロジーを提案する際、その応用範囲を過度に規定してはいけない。
どのように活用している、したいと思っているか、アンテナ感度を常に高く保ち、
思いもよらぬ使い方をする人がでてきたら、その方向性を応援すればよい。

例えば、萌えキャラで親近感をもってくれる層がいればちっぽけなプライドや嫌悪感を捨てて状況に適応すればよい。期待を超える対応ができれば、マイクロソフトのファンになってくれる可能性は高いだろう。多くの方々が、艦これ用にWindowsタブレットを活用いただいている状況に気づいているのであれば、少なくともコンシューマー部門はOEMメーカー各社と連携して全力でコラボモデルを実現すべきだ。別の次元の例で言うならば、Microsoft Venturesへの期待値が、単なる少額投資や技術支援にあるのではなく業務提携にあるのであれば、スタートアップと大手企業の架け橋となってその責任を果たすべきである。

パイロットとモビルスーツの共振で赤く発行するサイコフレームを緑色に光らせるための鍵は、独りよがりではない多くの人たちとの共感、共振である。視野狭窄、独善主義、局所最適は人類進化の敵であり、見つけ次第全力で駆逐する、あるいは共感により考えを変えていただく努力をしてゆきたい。

「だから世界に人の心の光を見せなきゃならないんだろう!」

と、アムロ君も言っている。
長文かつガンダム用語満載で、ガンダムユニコーンを見ていない方には何のことやら…という表現も多かったと思うが、最後まで読んでいただいたことに感謝する。このブログは、ガンダムの世界観がわかっていないとその本質を理解できないという前提で、自由に思いの丈を書き綴らせていただいている。
最後に補足しておくが、私がロールモデルとしているのはシャアを模して造られた強化人間フル・フロンタルではなく、一流の見識や運命的な出自の過去を持ちながら、コンプレックスの塊で悩み苦しむシャア・アズナブルである。

2014年も、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いしたい。

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