ハッカソン問題に一石を投じてみる(前半)
広く一般に、ということもあるのだけれども社内関係者向け情報共有も兼ねて。
今回はガンダム成分抜き。
ハッカソンに関与することも多い立場から、議論になっている「審査」に関しては、ImagineCupの審査方法が参考になるのではないか、と考える。Imagine Cupはマイクロソフトが主催する学生向けのプログラミングコンテストで、ハッカソンのように短期間でモノを創り出すことを目的としたものではなく、学校での卒業制作的な意味合いも含めて1年がかりで臨んでくるチームもいる。本年も、日本大会は4月23日(土)に、世界大会は7月にシアトルで行われる。
参考になるのではないかと考えているポイントは...
- そもそもの期待値コントロール(Microsoftのテクノロジーを何らか使っていることが出場条件)
- 部門を明確にしている(ゲーム、シチズンシップ、イノベーション)
- 舞台上でのプレゼンテーションの時間帯はあるのだが...
- 審査員がブースをまわってデモやコード、ハードの仕組みをアドホックに質問しながらじっくり理解を深めるハンズオン審査が重視される点
特記すべきは最後のハンズオン審査。日本ではあまりみない方式である。
私もビジネスコンテストからハッカソンまで様々な場で審査員を担当させていただく機会が多いのだが、正直なところ5分のピッチと、他の審査員や周囲に気を遣った数件のQ&Aだけで作品の本質や実際の挙動を確認するのはかなり難しい。
そこで、ImagineCupの世界大会では、出場チームがブースを構え、審査員が巡回してかなりしつこく疑問に思った点を根掘り葉掘り聞くし、場合によってはコードも見せてもらうことで、この問題を解決しようとしている。従って、審査員もそのレベルの深い判断ができる人が選定される。プレゼンを聞いて、点数をつけるだけではないので審査する方も大変ではある。
双方歩み寄った非常によい仕掛けと思うのだが、歴代日本からの出場チームにとってはここが鬼門で、数分の英語プレゼンは練習でどうにかなるが、何を聞かれるかわからないアドホックなQ&Aで十分な説明ができないことも多い。必ずしも英語の問題だけでなく、突かれると痛い質問への対応にスマートに対応することは難しい。
今回から、ImagineCupの日本大会ではこの方式を導入し、プレゼンテーションとデモブースでの審査員質疑応答の両方の観点から審査を行い、世界大会で勝てるチームを選定できればと思う。審査員の皆様への依頼はこれから打診するが、面倒だといやがらずにお引き受けいただきたい。
ちなみに私が審査員(の一員)を引き受ける上でのスタンスは...
- おそらくプレゼンで時間内に言えなかったであろうことを引き出す質問をする
- 本当はこうしたかった、今後実現に向けてがんばりたい、と思わせる質問をする
- 誰も質問しないときには場を和ませる質問をして空気と流れを作る
といった点を意識することが多い。そこ怪しいしできてないよね、という点があったとしても、言い方を変えるか、評価は正当につけつつも個別のフィードバックは終了後にするようにしている。まずは、がんばった成果やプロセスを讃えたいというのが根本にある。
もちろん、短期間でのハッカソンとImagineCupには諸々違いはあるが、数分のプレゼンだけでなくデモブースを審査員がまわって徹底的にQ&Aをする審査方法は、もう少し日本で広まってもよいのではないかと考える。ImagineCupは応募作品および日本大会の参加者申し込み中。
ハッカソン問題に一石を投じてみる(後編)は、協賛スポンサーとしての外資系IT企業の中間管理職の悲哀をぶっちゃけで語ってみる。(書いてみたけどややひより気味)こうご期待。