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朝日新聞記事の「1万株の22%が8800株」とはどういうことか? 【種明かし編】

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前のエントリーで書いた大阪市の海遊館株売却に関する話で、

「同日開かれた市議会建設港湾委員会で、市港湾局は、所有する1万株のうち22% にあたる8800株を1株10万4000円で近鉄に売却する契約内容を説明。」

という朝日新聞の表記は間違っているようで、実はある意味正しい、という話をしました。今回はその答えということで。

 

 10000株 × 22% = 8800株

上記の式のどこかに加減乗除の記号と数字を1つずつ加えると式は成り立ちます、という謎かけで終わりましたが、 早速答えを出しましょう。

朝日新聞の記事には、実は重要な前提情報が抜けていました。それは、大阪市が保有している海遊館の株式は発行株数の25% であるという事実です。

つまり、前述の記事は、「大阪市が保有するのは海遊館発行総株数の25%にあたる1万株だが、全株式の22% にあたる8800株を売却する契約であった」と説明するのが正しいです。

 10000株 × (22% / 25%) = 8800株

このように数式も正しくなります。

 

ご覧のように、たったひとつでも前提情報がうまく伝わっていないと、読み手はまったく理解できないという状況が生じることがあります。

これはビジネスの現場でも同様で、自分が知っていることを相手も知っているという前提で話をすると、途中で議論がかみ合わなくなり、 最悪の場合、話し合い自体も取り止めになってしまいます。

「サルでも分かる~」という表現がありますが、それこそ、門外漢が読んでも分かるような説明ができるかどうかで、 その人のコミュニケーション力が決まってくるでしょう。

もっとも、多くの情報を盛り込んだ結果、重要なメッセージが埋もれてしまったというのは本末転倒ですけどね。

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