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【工数単価で契約が成り立つビジネスはレアであることを認識するべき】

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皆様こんにちは。鈴与シンワート株式会社の正林です。


皆さんが何かモノを買うとき、サービスに対して対価を払うとき何を基準に購入を決めるのか? 例えば、時計を買うとして...
そりゃモチのロンで「デザイン、機能、ブランド、使い勝手」などを検討したうえで「買う」「買わない」を決めるでしょう。
しかしながら、SI・システム開発における契約行為は

● 「開発者の単価 × 費やす時間(工数)」

というのが一般的です。これが例え一括契約であったとしても「費用の内訳、根拠」を求められれば、「工数・単価」を何の疑いも無く示すのが普通じゃないでしょうか。
だけどこのように、拘束時間によって商取引が成立するケースはレアなのです。

で、何を言いたいのかというと、「拘束時間によって成立するビジネスは『時給いくらのアルバイト』と考え方の延長に過ぎないんじゃないか?ということです。
業界で普通に会話される「人月単価」が60万円だろうと300万だろうとそこに見出す付加価値は時間でしかない。これはローエンドなビジネスに用いられる手法。
仕事に対する成果に対価を得るのでは無く、時間をかけた分の対価をもらう。このモデルがなぜローエンドなビジネスに用いられるかというと、「仕事の対価に対する付加価値を作業という捕らえ方でされているから」だと思う。

先に挙げた時計の例だけでなく、車を買うとき、タブレット端末を買うとき、部品原材料がいくらで、工賃いくらなんて店頭に並んだりはし無いわけで。決して、その中の一つ一つの部品を製作するために何時間かかったから「いくら」とは云わないんですよね。
SI・システム開発業界でそれが実現できているのは、PKG化されたOSやミドルウェア、ソフトウェアといったもののみ。

いや、このモデルが間違っているとかは思わないんだけど、働いているエンジニアも、新しい収益構造を生み出したり「仕事に対する達成感」を感じたりしにくいと思うんです。

期間の長い開発案件を獲得して、エンジニアの時間を提供する。これ経営的には、長期的に一定の収益を見通せるのでリスクは少ないですよ。ただ、これに関わるエンジニアのモチベーションは時間を消化することや、長くその仕事に関わって継続させることにプライオリティが高くなって行きがちだと思うのです。

以前、友人のアプリケーションの言語開発者と話をしたときに

「オープンソースというプログラミング言語は『売る』という行為をあきらめているようにも思える」

といっていました。僕はこの考えに、なーるって共感したわけだけど、この「時間清算式」のビジネスも本質的には同じで

「人に単価を設定する以上の付加価値の創造をあきらめている」

と僕は思うんです。

クラウド・サービスの隆盛やBPOサービスの拡大でSIサービスは、今後厳しい時代が来るといわれてます。
売り手であるSIERは従来型のビジネスモデルに、新しいサービスモデルをオプションして変化していかなければ、業界も個人のモチベーションも盛り上がらねーよな、って考えて「じゃぁそれって何?」悶々とする企画マンの今日この頃です。

<了>

-正林 俊介-


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